トランプ政権の関税のせいで、アメリカの3月GDP速報値 がマイナス0.3%になり、3年ぶりマイナス成長になったと日本メディア

日本メディアが伝えない実際の状態(今回のGDP統計は、一部無視できない突発的な要素(金の輸入急増、関税逃れの駆け込み在庫積み増し)が大きく影響しており、表面の数字ほど本当は経済が悪化しているわけではないのです)について

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米国の最新のGDPが発表され、TBSやNHKは2期目のトランプ政権の元でアメリカ経済に急ブレーキがかかった事が示されたと報道しています。

トランプ政権の誕生後、アメリカ経済に急ブレーキです。アメリカの今年1月から3月のGDP=国内総生産はマイナス0.3%で、3年ぶりのマイナス成長となりました。

アメリカ商務省が30日に発表した、今年1月から3月までのGDP速報値は前の3か月と比べて、年率に換算して0.3%のマイナス成長でした。

アメリカでGDPがマイナス成長となるのは2022年の1月から3月まで以来3年ぶりで、1月に誕生した2期目のトランプ政権のもとでアメリカ経済に急ブレーキがかかったことが示された結果となりました。

トランプ政権は4月以降には中国との貿易戦争を一段と激化させていて、景気後退への懸念が広がっています。

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日本メディアはこれをいつものようにトランプへの攻撃材料として喜んで使うでしょう。

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しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルの主任経済特派員は今回のGDP悪化を以下の様に冷静に分析しています。

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実質GDPは数字上は第1四半期に0.3%減少しました。

しかし、国内の基礎的な需要をより適切に示す指標である「民間最終国内需要(実質GDPから在庫変動、純輸出、政府支出を差し引いたもの)」は、年率換算で3%の成長となりました。

つまり、全体で見ると経済は縮小したものの、政府の支出や貿易の影響を除いた、国内の民間部門による需要は力強く成長していた事を示しています。GDPの減少は、在庫の積み増しが減速したり、輸出が減少したり、政府支出が削減されたりした事が原因である可能性。

言い換えると、実質GDPの減少(-0.3%): 表面上は経済が悪化しているように見えます。

実質国内民間最終需要の増加(3%): 実際には、企業や個人による消費や投資は活発だった事を示唆しています。

この2つの指標の乖離は、経済の状況をより深く理解する為に、GDPの構成要素を分析する必要がある事を示しています。更に言うと、この数字は関税への前倒しの経済活動を反映している可能性も。

つまり、本日のGDPレポートには良いニュースと悪いニュースがありました。

悪いニュースから始めると、第1四半期のGDPは-0.3%となり、予想の-0.2%を下回りました。これは2022年第1四半期以来初めてのマイナス成長です。

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良いニュースは、実際の落ち込みはずっと悪化する筈でしたが、そうはならなかった事です(アトランタ連銀の最新GDP予測を思い出してください、これは-2.7%、または記録的な金輸入を除けば-1.5%でした)。

実際、本日のGDPの内訳を見てみると、2つのマイナス要素、すなわち純輸出と政府支出を除けば、予想外に強い数字となっていることが分かります。

以下のグラフに示されている通り、第1四半期GDPは以下の要素で構成されています。

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・個人消費は1.21%、前回の2.70%から減少したものの、年率換算では1.8%となり、予想の1.2%を大きく上回りました。

・固定投資は1.34%に跳ね上がり、前回の-0.2%から大幅増加、2023年第2四半期以来の最高値となりました。BEAがデータセンター投資の追跡を正確に始めた事が要因です。
・民間在庫の変化は予想通り2.25%急増しました。関税前の在庫積み増しが背景にあります。前四半期の-0.84%からの増加で、今後数四半期では在庫が売りさばかれるにつれてこの数字は反転すると予想されます。
・政府支出は-0.25%と、ジョー・バイデン大統領がGDP押し上げの「お決まり」としてきた項目が2022年以来初めてマイナスとなりました。
・そして最も重要なのは、純輸出(輸出から輸入を差し引いたもの)が最終GDP値を4.830%も押し下げた事です。これは前四半期の+0.26%から5%近い変動となりました。

この要因は第1四半期の輸入急増(そのうち金の輸入が約半分を占める)によるもので、GDPに過去最大級の5.03%のマイナスインパクトとなっています。

在庫の時と同様に、今後関税先取りの流れが終わり、反転するにつれてこの数字も今後数四半期で逆に動く見込みです。

輸入のGDPへの寄与を詳しく見ると、これは最大の変動要因となっており、5.03%という数値は、過去2番目に高い水準で、コロナ禍による特異なショック時のみがこれを上回っています。言い換えれば、経済的ショックを除けば、これは記録的な四半期の数値でした。

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米商務省経済分析局(BEA))は実質GDP(国内総生産)が減少した理由について「四半期にGDPが減少した主な理由は、輸入が増えた事(GDPの計算では輸入はマイナス項目です)、そして政府支出が減った事でした。ただし、その一方で、投資、個人消費、そして輸出は増えましたので、それらが減少分を一部埋め合わせました。」とコメントしています。

要するに、「輸入増加と政府支出減がGDP減少の主因で、投資・消費・輸出の増加がその影響を多少和らげた」という事です。

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インフレについては、商務省経済分析局(BEA)の発表によると、国内総購入価格指数は第1四半期に3.4%上昇し、第4四半期の2.2%の上昇と比べて高くなりました。個人消費支出(PCE)価格指数は3.6%上昇し、前期の2.4%から加速しました。食品とエネルギーを除くコアPCE価格指数は3.5%の上昇となり、前期の2.6%を上回りました。

これらを踏まえると、GDP価格指数は予想の3.1%を上回る3.7%となり、コアPCEも予想の3.1%を上回る3.5%でした。

結論として、GDPの数値は予想よりもかなり強く、事実、もはや笑い話となりつつあるアトランタ連銀のGDP予想より2.4%も高い数字でした。むしろ、トランプ政権にとっては第2四半期および/または第3四半期に第1四半期の外れ値が修正された際、予想外の反発となる可能性すら示唆しています。

上記の内容を整理すると、以下のようになります。

GDP成長率の落ち込みは予想よりマシだった

本来、アトランタ連邦準備銀行の予想ではGDP成長率が年率-2.7%と大幅なマイナスになるとされていました(※ただし金輸入という特殊要因を除けば-1.5%)。しかし、実際の結果はこれよりマシ。

GDPを構成する要素ごとの動き

GDPは主に

個人消費(Personal Consumption)

  • 固定資本投資(Fixed Investment)
  • 在庫変動(Change in Private Inventories)
  • 政府支出(Government Spending)
  • 純輸出(Net Trade=輸出-輸入)  
    という内訳になっています。それぞれについて解説します。

個人消費(+1.21%):前期(+2.70%)より減速したものの、想定よりは良い数値だった。

固定投資(+1.34%):前期の-0.2%から大きく改善。特にデータセンター投資の計上が反映された。

在庫増加(+2.25%):前期は-0.84%だったが、今回は企業が関税前の駆け込みで在庫増やしたため大幅にプラスに。今後は逆(マイナス)になる見通し。

政府支出(-0.25%):バイデン政権になってからほぼずっとプラスだった政府支出が、久々にGDPを下押しした(マイナス寄与)。

純輸出(-4.83%):要するに輸入が急増したことで極端なマイナス寄与(ほぼ-5ポイント)。これは金(ゴールド)の輸入が非常に大きかった。関税前の駆け込みで一時的に輸入が膨らみ、GDP計算上、大幅マイナスに。

今後は

在庫や純輸出のこの一時的な動きは、今後反動で逆の動き(在庫処分・輸入減少)が起こる見込み。

だから「悪い数値」に見えても、実は短期的な特殊要因に過ぎない面も大きい、ということを指摘しています。

要するに今回のGDP統計は、一部無視できない突発的な要素(金の輸入急増、関税逃れの駆け込み在庫積み増し)が大きく影響しており、表面の数字ほど本当は経済が悪化しているわけではない、という解説です。
個人消費や固定投資はむしろ想定より底堅かったという結果です。

日本メディアはこうした実際の構造を報道する事なく、ただただ米国経済がトランプのせいで危険だと喚き散らして印象操作を行っています。

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株価は昨夜、ADP(米民間雇用統計)とGDP(国内総生産)が予想より弱かったため序盤は急落しました。

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しかし、その後、PCE(個人消費支出価格指数)が予想より大きく減少し(インフレがやや収まった)、スタグフレーションへの懸念が和らいだ事、GDPの数値悪化が一時的なものである事をマーケットが見抜き急騰しました。

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