タイ総選挙で激震。中国と癒着してきたタイ与党が完敗しました。10年近くぶりに政権交代へ向けた動き

 

タイ国民は中国と癒着し腐敗した現政権と王室にNO

 

Photo Denys Nevozhai

· Daily News,Southeast Asia

 タイで昨日14日投開票された下院総選挙で野党が大勝。10年近く続いた親軍政権からの交代に向けて連立協議が本格化すると報道がなされています。

王室改革を掲げた野党「前進党」が第1党、タクシン元首相派の野党「タイ貢献党」が僅差で第2党に。ロイターによると両党は与党「国民国家の力党」とプラユット首相を支持する「タイ団結国家建設党」の3倍以上の議席を獲得する見通しとの事。

しかしながら、2014年のクーデター後に定められた国軍に有利な規則により、選挙後の首相指名選挙で投票権を持つ上院議員は国軍によって任命され、現在の親軍与党の言いなりの様子。なので今後はまだ不明瞭です。

若者主導により王室改革を掲げた野党「前進党」が圧倒的なリードを見せ、タイの有権者が軍部・王族エリートに断固としてノーを突きつけた下院総選挙となりました。

月曜日にほぼすべての票が集計された時点で前進党とタイ貢献党が、500人の議員からなる下院で約286議席を獲得すると予測されていました。

しかし、軍に任命された上院議員250人が首相に投票できるという歪んだ議会規則のため、彼らが次期政権を樹立できるかどうかについては不透明なままで、前進党とタイ貢献党新政権を樹立する為には、より小さな政党の支持が必要になるとの事。

日曜日の投票で最大の勝者となった前進党は王政改革と、憲法改正と徴兵制廃止による軍の権力縮小という大胆な綱領を掲げて総選挙に初挑戦していました。

王党派と軍部の与党は惨敗。2014年のクーデターで陸軍大将として権力を掌握したプラユット・チャンオチャ首相の「タイ団結国家建設党」は、36議席で5位に後退していた。プラユット・チャンオチャ首相は今回の結果を受けて、タイ団結国家建設党を離れる事になり、政治独裁者としてのキャリアは終わった、と言われています。

タイの有識者は「タイ国民の多くが変化を望んでいる事が示された、タイにとって大きな転機となる」「今回、私達は変化を求めて必死に戦った有権者の力を目の当たりにしているのです」と語っています。

2014年のクーデターでタイ軍は選挙で選ばれた文民政府から権力を奪い取り現在まで君臨してきました。オバマ政権は当時クーデターを非難したが、中国は喜んで歓迎しプラユット・チャンオチャ将軍の軍事政権を抱き込んでいます。その後北京はタイを横断する一連の大規模な高速鉄道投資の交渉を開始しました。一帯一路の始まりです。

また、タイの海軍を強化する為として潜水艦を売却する契約も結び、数億ドルで数十台の中国製戦車やその他の装甲車両をタイに売却しました。

まだハードルは高いですが、2014年から続くこの軍事政権と中国に支配された状況をタイ国民は打破出来るかもしれません。

タイ警察と中国マフィア三合会の腐敗

中国の三合会(トライアド)とタイの腐敗した警官が国家の安全保障を損ねていると報道がされています。

何十年もの間、数え切れないほどの中国人がタイで違法な、あるいは「グレー」なビジネスに携わってきたが、主に腐敗した国家公務員、特に警察組織の助けによって、法律上の問題を起こさずに済んできた様です。

これらの怪しい「中国ビジネスマン」は、タイ政府と協力する事により、タイで麻薬取引、武器取引、人身売買、ギャンブル、マネーロンダリングに至るまで、犯罪行為を自由に行えるようになっていました。

しかし昨年、こうした中国三合会(トライアド)の存在が明らかになるまでは、タイ社会はこの問題にほぼ気づいておらず、マフィアがタイでどの程度のグレーなビジネスを展開しているかは知りもしなかった様です。タイで帰化した華僑のネットワークが、タイ国内で司法制度を腐敗させながら利益を上げている事を、一般の人々は知らなかった。

タイで事業を開始する前に、中国三合会のボスは軍や警察の幹部とコネクションを築いたとされる。中にはタイの政治家とのコネクションを自慢する者もいました。

昨年10月下旬、主に中国人を対象としたバンコクの無許可の娯楽施設が家宅捜索を受け、100人以上の客から麻薬の陽性反応が出たり、様々なパーティードラッグ、高級車、ギャンブル道具などが押収されるという事件がありました。

これは氷山の一でこうした中国三合会による犯罪行為が明るみに出た為、警察は一応は取り締まりを始めた様です。

2023年3月29日、国家警察副長官は中国が関係する事件の解決に着手したと発表しています。 中国人がタイ政府高官になりすまして中国人を欺いた事件と、違法結社をタイで設立した14Kトライアド事件からなる2大事件についてです。

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日本のカジノIRに進出をしようとしていた、サンシティのTop周焯华は以前マカオ14Kのリーダーでした。

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中国人がタイ政府高官になりすまして中国人を欺いた事件では、中国グループは中国タイ協会と名乗り、 経済的地位の高い中国本土の中国人に対し、観光、ホテル、レストラン、宝飾品などタイの様々な産業分野への投資を売り込む投資詐欺を行っていました。

代表者の中国人は自分はタイ王室の名誉会員であると述べ、その名刺を中国の投資家に配布し信用を得ていた様です。

また、タイ捜査本部は14Kトライアドがタイ国内で違法な二つの結社を組織した事も発見し解体したと発表しています。

1つ目はバンコクのワントーンラン地区に置かれていた世界洪門歴史文化協会(世界洪门历史文化协会)

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二つ目は海外紅門文化交流センター(海外洪门文化交流中心)でした。

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この事件は中国本土でも報道される騒ぎとなっています。違法なビジネスやグレー産業を行う14kがタイで暗躍しているとメディアやソーシャルネットワークで拡散され、これを受けてタイ国家警察の副長官は捜査チームに徹底的な調査を命じた。

この14K構成員は逃亡し捕まっていないと報道されています。タイ国民がSNSで騒ぐまでは警察は14Kトライアドと癒着していた可能性があります。

この様なタイ国内の汚職状況を踏まえタイ貢献党副党首は汚職撲滅を呼び掛けています。

「プラユット政権を止め、政府に蔓延る汚職を撲滅し、麻薬を止め、グレービジネスを止めよう」

タイ貢献党の副党首ピチャイ氏は

汚職がタイ政府のあらゆる方面で急増しており、その腐敗によりタイの経済成長率は1%未満となっている。タイが後れを取る前に早急に政権を交代する必要があると指摘。

同氏はフォーラム「プラユットを止め、汚職を止め、麻薬を止め、グレービジネスを止めよう」でタイ政府内の汚職は常に行われており、そして徐々に重症化していると述べています。

最近では台湾の女優がタイ警察に恐喝されたり、 タイ警察に空港までの送迎を依頼する中国人観光客の映像が報道されるなど、中国人と政府との癒着が目に余る。

汚職は警察、軍隊、公務員、転勤のための貿易などあらゆる業界に蔓延しているが、与党は自分達に有利な憲法を制定することで権力を継承するだろう。

国際指標でもタイ経済の悪化が明確に確認されました。 今の政府ではこの問題を解決できない。 したがって、汚職を阻止し、経済の立て直しに取り組む事がタイ貢献党の主要政策となるだろう。 特に、権力の腐敗と官僚システムのデジタル化は、問題を解決し、腐敗を防止し、効率も向上させるでしょう。 それは国にとって大きな利益となる。そしてこの問題を解決するためにタイ貢献党が政権を任せて貰えると信じたい。

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この様な現在のタイ政府と中国共産党・三合会(トライアド)との汚職による政権腐敗について日本のメディアは報道していませんが、現地では大問題となっている様です。

そういう意味でも今回のタイ下院でのタイ貢献党と前進党の大勝利は大きかったと言えるでしょう。中国と汚職を繰り返し腐敗した現政権を倒す選択をタイ国民は選びました。