中国国営企業、北京谊安集団が、130年の歴史を持つドイツ人工呼吸器メーカーHeyer Medicalを買収しようとした為にドイツ政府が買収を阻止した 

 

 

 

2022.5.4

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ドイツ政府が公衆安全への懸念から中国企業誼安公司によるドイツの老舗呼吸器メーカーHeyer Medical AG買収を阻止しました。これは中国共産党による欧州の戦略的企業の買収に対抗して、ドイツ企業を買収から守るため、2年前にドイツ外国貿易法が改正された結果です。

中国企業誼安公司はすでに自社の公式ウェブサイトでHeyer Medicalの買収を宣伝しており、「HAYER製品が誼安の製品ポートフォリオに加わることで、誼安は世界の医療機器市場における強力なリーダーとなる」と発表していましたが買収失敗。

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誼安の公式サイトを見ると、中国には約800の病院と1万台以上の人工呼吸器医療機器があり、数カ国で事業展開していることがわかります。

中国共産党商務部が海外に納入する人工呼吸器のトップブランドの一つであり、中共衛生部、中共軍兵站部の医療・車両分野にサービスを提供し、中共の「一帯一路」プロジェクトに参加する医療機器企業の一つです。

中国共産党は軍民融合(民間企業と人民解放軍の一体化による軍事インフラ強化)において海外企業のインフラ、ロジスティクスを買収する事により、手っ取り早く人民解放軍の強化も図っている為に特に注意が必要です。

 

中国企業の欧州での企業買収額が2021年には2020年比で8倍に増加し、買収総額は124億ドル(1兆5000億円弱位)に達しています。

中国国営通信の新華社は、中国の投資家が2021年に欧州で155社を総額124億ドルで買収したと報じており、香港のヒルハウス・キャピタルがオランダの電機メーカー、フィリップスの家電部門を44億ドルで買収したのが最大の投資額となっています。

また、テンセントがイギリスのゲーム開発会社Sumo Digitalを12億5000万ドルで買収し、中国国際海上コンテナーがデンマークのメーカーMaersk Container Industryを11億ドルで買収したことも注目された。

投資額が多い国は、イギリスが36社、ドイツが35社、オランダが13社だった。

 

こうした中国企業による欧州の企業買収は今に始まった事ではなく、10年以上前から中国共産党により計画的に始まっていました。また、中国共産党は外国企業を買収する中国企業に補助金を付けているパターンも見受けられます。

この事について欧州委員会が報告を出しているので見てみましょう。

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中国は、伝統的にEUが中国より強かった革新的・技術的に優れる産業に向けて、急速に投資を拡大させている。中国に支配されているEU企業数の比率は、2007年の外資系企業の1.4%から2015-16年には8%(約8,000社)へと急速に増加していました。

中国の対欧州投資は、戦略的な分野、特にドイツと英国に拠点を置く製造業やICT企業をターゲットとする傾向が強まっており、次いでフランス、イタリア、オランダが続いている。

中国の買収を特徴づけるのは、そのダイナミックな成長のほかに、中国の買収企業の生産性向上がEUや米国の買収企業に比べてはるかに大きいことである。

EUは、域内市場において、外国の国有企業や国営企業の資金調達が歪な影響を及ぼす可能性があることを認識している。

EUと米国における中国による企業合併・買収事例件数推移⇩

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爆増しています。

では、日本に対する中国企業の日本企業買収はどうでしょうか?

 立正大学経済学季報第 70 巻第 1 号によると、欧州と同じく急増しています。2002年に3件だった中国による日本企業買収は、2015年には237件にまで増加。

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欧州より早く日本企業が中国に買収され始めていた事が分かります。

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中国傘下になれば売上も中国へ流れて行きます。こうして中国企業となった企業の製品を買えば、かつては基本的に売上金が全て日本に戻ってきていたのだが、今やもう、その売上金の多く(場合によってはその大半)が、中国に流出していくことになってしまっていると藤井 聡氏は指摘しています。

こうした経済面プラス、上で触れたように中国に買収された企業のノウハウやインフラは軍民融合により人民解放軍の強化につながっていく可能性も高いと言えます。

明らかに危険な中国国営企業(中国民間企業も中国政府に技術支援は法で定められている)による日本企業買収に法規制はなされているのでしょうか?

中国企業による買収件数の増加を背景に、技術・ノウハウの流出に伴うリスクを懸念したEU地域の各国では、中国資本を規制するための法整備を急速に整備しています。

しかしながら、日本においては中国資本による日本企業の買収に関する規制は設けられていないのが現状です。現時点の日本には外資参入に対する規制が非常に少なく、外国投資の審査や規制を行う政府機関も存在していません。

早急に抜本的な対応が必要です。