2025年6月13日の世界のマーケットと主要な経済ニュース

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アメリカの株式市場

アメリカの株式市場は、不安定な動きを見せましたが、最終的には殆どの銘柄が上昇しました。

予想を下回る5月の生産者物価指数(PPI)の発表が、中東における地政学的な懸念を打ち消す追い風となった為です。

セクター別では、公益事業、テクノロジー、ヘルスケアが上昇を牽引し、一方、工業、通信、一般消費財は下落しました。特に工業セクターは、エア・インディアのボーイング787-8ドリームライナーがインドで離陸直後に墜落し、ボーイング(BA)株が4.8%下落したことが重しとなりました。

  • S&P 500種株価指数(SPX):+0.38%(6,045)
  • ナスダック100指数(NDX):+0.24%(21,913)
  • ダウ工業株30種平均(DJI):+0.24%(42,968)
  • ラッセル2000指数(RUT):-0.38%(2,140)

関税・貿易

  • トランプ大統領は、「自動車と農業」に関する米英貿易協定の主要な要素に署名する見込みです。フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた関係者によると、英国の鉄鋼メーカーに対する関税ゼロでの輸入についても交渉が進行中です。
  • ベッセント米財務長官は、中国との協議が関係のバランスを取る事に繋がると述べ、中国は貿易交渉において信頼できるパートナーであるべきだと主張しました。また、中国がアメリカ製品に対して自国経済を開放すれば、米中関係の再均衡が見られる可能性がある事を指摘しました。更に、フェンタニルの密輸問題への対応について中国が取り組む意思を示していると述べ、解決可能だと考えています。(ディールしていると思われます)
  • グリア米通商代表部(USTR)代表は、中国が米国へのレアアース磁石の輸出を迅速化する方法を見つけたと述べ、輸出規制は交渉の対象ではないとしました。また、ロンドンでの中国との協議の実施を最終決定しており、政策変更の過程にあると述べました。更に、90日間の休止期間を「締め切りだと考えている」と発言しました。
  • EUと中国は、7月24日から25日に首脳会議の開催を検討しており、中国側の目標は、EUが電気自動車(EV)に対する関税を撤廃する事だと政治ニュースサイト「ポリティコ」が報じました。
  • コニャック業界は、中国当局に対して「最低輸入価格」を提示し、業界と中国当局との間で協議が進行中であるとロイターが報じました。
  • カーニー・カナダ首相は、米国との貿易交渉に進展が見られると述べました。

注目ニュース

  • トランプ米大統領は、原油価格の上昇を好ましく思っておらず、金利の引き下げを望んでいると述べました。しかし、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は金利を引き下げようとしておらず、トランプの意向に沿っていませんが、今のところ解任するつもりもないと付け加えました。更に、パウエル議長が金利を1%引き下げれば、支払いが1%少なくなり、2%引き下げれば更に少なくなるだろうと語りました。

米経済指標

  • 5月生産者物価指数(PPI):
    • 最終需要(前月比):0.1%(予想:0.2%、前回:-0.5%[修正値:-0.2%])
    • 最終需要(前年比):2.6%(予想:2.6%、前回:2.4%[修正値:2.5%])
    • 食品・エネルギーを除く(前月比):0.1%(予想:0.3%、前回:-0.4%[修正値:-0.2%])
    • 食品・エネルギーを除く(前年比):3.0%(予想:3.1%、前回:3.1%[修正値:3.2%])
  • 新規失業保険申請件数(週):24万8千件(予想:24万件、前回:24万7千件[修正値:24万8千件])
  • 失業保険継続受給者数(週):195万6千人(予想:191万人、前回:190万4千人[修正値:190万2千人])

外国為替(FX)

  • ドル:予想を下回る米PPIの発表を受け、最近の消費者物価指数(CPI)と同様の価格動向が示唆された為、ドルは主要通貨に対して下落しました。
  • ユーロ:ドルの下落が続いた事を背景に、ユーロが上昇。デ・ギンドス欧州中央銀行(ECB)理事は、ユーロの役割は徐々に拡大する可能性があると述べ、シムカスECB理事は、インフレ率が予測を下回るリスクが高まっており、ECBは中立金利に到達した為、金利は更に引き下げられる可能性があると述べました。
  • ポンド:当初、英国の月次国内総生産(GDP)などの期待外れの経済指標を受け、ポンドは下落しましたが、ドルの売りが続いた為、損失を取り戻しました。
  • 円:米PPI発表後、米ドル/円は144.00を下回り、金利差が縮小した為、円高が進みました。

債券

  • 米国債:新たな関税問題、地政学的な緊張の高まり、予想を下回る米PPIを受けて、利回りは低下し、イールドカーブはフラット化しました。

商品

  • 原油価格:地政学的な不安が続いている為、原油価格は不安定な動きを見せました。
  • トランプ米政権は、金曜日に再生可能燃料の量に関する提案を発表する見込みであるとロイターが報じました。
  • 主要7カ国(G7)は、米国が合意しなくても、必要であればロシア産原油の価格上限を引き下げる用意があり、欧州、カナダ、英国は価格上限の引き下げを支持しているとロイターが報じました。

地政学的リスク

  • 中東
    • イスラエルは、今後数日中にイランに対して軍事行動を検討しているとABCが報じました。
    • イスラエル外務省は、国際社会はイランの核開発不遵守に対応し、イランが核兵器を開発するのを防ぐ為の措置を講じるべきだと述べました。
    • 国際原子力機関(IAEA)理事会は、イランが核保障措置を遵守していないと宣言する決議を可決しました。
    • イランのペゼシュキアン大統領は「我々はウラン濃縮を続け、現在の傾向から逸脱することはない」と発言したとスカイ・ニュース・アラビアが報じました。
    • イラン革命防衛隊(IRGC)のサラミ司令官は、テヘランは過去の攻撃よりも「より強力かつ破壊的な方法」でイスラエルに対応すると宣言したと、ロイターがイラン国営メディアを引用して報じました。
    • イランの国防相は、核協議が失敗し、紛争が起きた場合、イラン革命防衛隊はホスト国のすべての米軍基地を標的にすると述べました。
    • イラン国家安全保障委員会で核拡散防止条約からの脱退という選択肢が検討されていると、アシャルク・ニュースが報じました。
    • イランの核開発責任者であるエスラミ氏は、新しい濃縮施設は既に建設されており、機械が装備され次第、稼働できる状態にあると言っていると、IRNAが報じました。
    • トランプ米大統領は、イスラエルの攻撃は差し迫ってはいないが、起こる可能性があると述べました。また、イランとの合意を望んでおり、合意に近い状態にあるが、イランはよりタフな交渉をしなければならず、米国が望まない事には譲歩しなければならないと付け加えました。
    • ホワイトハウスのウィトコフ特使が共和党の上院議員に対し、イランはイスラエルの核施設への攻撃において、イスラエルの防衛を突破し、大規模な損害と死傷者を出す大規模なミサイル攻撃で報復する可能性があると警告したと、アクシオス紙のラビド記者が報じました。
    • へグセス米国防長官は、イランとの協議はまだ進行中であるとしているとアル・アラビーヤが報じました。また、ウィトコフ米国特使は、イランとの6回目の協議の為、日曜日にオマーンの首都マスカットを訪問する予定であると、ロイターが情報源を引用して報じました。
    • 米国情報機関の推定によると、イランは約2,000発の弾道ミサイルを保有しており、その弾頭は数トンもの爆発物を搭載する事ができ、その多くはイスラエルの射程内にあるとアクシオス紙が報じました。
    • ドイツの外相は、イランが核兵器を取得する事は容認しないと述べました。
  • ロシア・ウクライナ:
    • フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、英国の外相は、ロシアに対する圧力を強化する用意がある事を改めて表明し、更なる制裁も辞さない構えです。また、ロシアが侵略を停止し、損害賠償を支払うまで、ロシアの資産を凍結し続ける決意を表明しました。
    • NATOは、ロシアを抑止する為、東部のミサイル防衛を強化する予定です。
  • アジア太平洋:
    • 中国人民銀行(PBOC)の潘功勝総裁は、地球規模の課題に対処する為、PBOCはECBとの交流と協力を引き続き深化させる用意があり、両国はPBOC総裁とECB総裁の間で年次会合メカニズムを確立すると述べました。
    • 中国の李強首相は、ECBのラガルド総裁と会談し、中国はEUとの市場の繋がりを強化する用意があると述べました。また、中国は外部からの悪影響を十分に回避する能力があり、EUとの産業協調を強化する用意があると付け加えました。
    • エア・インディアのボーイング機が、ロンドンに向かう途中、アフマダーバードで離陸直後に墜落し、乗客242人のうち241人が死亡しました。
  • EU/英国:
    • ECBのデ・ギンドス理事は、ユーロの役割は徐々に拡大する可能性がありそうだと述べました。また、ユーロ圏経済は、強い労働市場に支えられ、これまでのところ非常に底堅さを示しているが、最近の動向はユーロ圏の成長に抑制的な影響を与える可能性があると指摘しました。
    • ECBのシュナーベル理事は、金融政策サイクルは終わりに近づいており、貿易紛争にも関わらず、成長見通しは概ね安定しており、金融情勢はもはや抑制的ではないと述べました。