お昼に、友人からバフェットがTSMC株を売却したのは本当か?と尋ねられた話です。バフェットがTSMC株を売却したのは本当です。(真ん中のTommy TubervilleのTSMC売買については分からない)
バフェットが代表を務めるバークシャー・ハサウェイは数か月前に41億ドル(約5400億円)で購入したTSMCの株式の86%を今年2月に売却したと明らかにしています。
TSMCの株の大半を売却するという決定において、地政学的緊張は「考慮事項」だった。との事。
バフェットは超ロングでエントリーしてくるので、台湾有事を警戒している様ですね。購入額が大きい為にバフェット自身の判断でポジションを取ったのではないかと言われていましたが、異例の速さで売却がなされました。
TSMCは台湾の国宝とされており、昨今のAI技術発展などを考えると、今後ますます企業価値が上がる事は間違いありません。バフェットがロングで入ったのも納得ですが、この部分を踏まえた上で売却の判断をしたのが気になる所です。
TSMC株価週足⇩
バフェットは中国EV最大手BYDでポジションを持っていた事でも有名ですが、BYDの株も最近売却しています。
バフェットは去年8月からBYD株の売却を始めており、3月31日に10回目のBYD株売却を行いました。
去年8月時点ではバフェットはBYDの株の19.92%を持っていましたが、10回の売却によりBYDへの出資比率は10.9%に減少しています。
BYDの株価は、過去2年間で6倍になった後、昨年6月28日に記録した最高値331.40香港ドルから現在33%下落した。
バフェットのバークシャー・ハサウェイは8月24日以降、公開情報に基づと、BYDの合計1億500万株を処分しています。同社は2008年の世界金融危機の際に、BYDの2億2500万株を1株8香港ドルで購入し、14年間の保有期間で約30倍のリターンを得ています。これをいよいよ売り始めた様です。
株価が実体と乖離し高過ぎるから売られたのではないかと憶測がありますが、こちらについてもTSMCと同じく西側に安全保障面で警戒され始めた(以前取り上げましたが、BYDは人民解放軍と関係が深い企業です。その研究センターは人民解放軍の防衛装備開発区画と同じ区画にあったりします。)事や、中国EVマーケットの果てしない安売り合戦等も背景にあるかもしれません。
いずれにしても、バフェットは最高のタイミングで売っている様な気がします。
BYDの株価は今年こんな風に落ち始める可能性。⇩
そしてバフェットは中国株を削減しながら日本株に目を向けています。
ウォーレン・バフェットは、今後10年間、投資の重心を日本に置き、中国本土と台湾の間で高まる地政学的緊張に弱い企業から徐々に離れていく事に賭けている様子。
92歳の投資家は今週来日し、日本の5大商社と会談している。バークシャーは最近、この5社への出資比率を5%から7.4%に増やしたが、理由は「あまりにも素晴らしい取引だったので、見過ごすことができなかった」からだと、バフェットは4月12日のCNBCとのインタビューで語っています。
「これらの企業は、私がその事業内容を概ね理解している企業である。バークシャーに似ているのは、多くの異なる利益を所有している点です。そして、これらの企業は私がとんでもないと思うような値段で売られていた...私は、このような会社をこの値段で買う事ができるという事実に困惑していた。」
日本の商社は様々な製品や素材を世界的に調達し、それをしばしば国内の中小企業に販売する企業である。バフェットが株を購入したのは、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事の5社でした。
世界のEV業界をテスラと争い支配しようとしているBYDと、世界に今後更に求められていくであろう唯一無二の企業TSMCを切って、これら日本の商社株をバフェットが選んだのはとても興味深いです。
三菱商事株価⇩うーむ、バフェットがこんなに褒めるし良い位置に価格があるので魅力的に見えちゃいますね。
三井物産株価⇩
伊藤忠商事株価⇩