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関税/貿易
- トランプ米大統領は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長から、貿易に関する50%の関税の6月1日の期限延長を求める電話を受け、2025年7月9日まで延長する事に合意した。また、委員長は交渉が迅速に開始されると述べた。
- 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、トランプ米大統領と貿易協定について良い電話会談を行ったと述べ、EUは良い協定に達する為に7月9日まで必要であるとした。更に欧州は迅速かつ断固として交渉を進める準備が出来ていると付け加えた。
- 日本の赤沢経済再生大臣は、次回の日米交渉の日程はまだ調整中であり、次回の交渉でベッセント米財務長官と会談したいと述べた。
- ASEAN事務総長は、中国・ASEAN自由貿易協定3.0の交渉が完了し、投資と貿易が促進されると述べた。また、第1回GCC-ASEAN-中国首脳会議が今週マレーシアで開催される予定である。
注目すべきヘッドライン
- FRBのパウエル議長は、プリンストン大学での講演で、経済や政策の見通しに関するコメントを控え、大学生に民主主義を守るよう促した。
- FRBのカシュカリ氏(2026年の投票権を持つ)は、FRBと米国の企業にとって不確実性が最も重要な課題であると述べ、9月までにFRBが動くかどうか尋ねられた際には、何でも可能だと答えた。更にカシュカリ氏は、様子見の段階であり、関税のショックはスタグフレーション的だと指摘した。
アジア太平洋株式市場
アジア太平洋地域の株式市場は、トランプ米大統領がEU製品に対する50%の関税期限を7月9日に延期すると発表した事を受け、当初は上昇したものの徐々に勢いを失い、ニュースフローが比較的少なく、英国と米国の市場が月曜日に休場となる為、世界的に閑散とした取引が続き値動きは抑制された。
- ASX 200は、テクノロジーおよび商品関連セクターの強さが、ディフェンシブ及び工業セクターの弱さを相殺した為、方向感を欠いた。
- 日経225は上昇したが、最近の通貨変動による逆風により、今日の最高値からは下落。一方、日本製鉄株は、トランプ米大統領が日本製鉄とUSスチールの「パートナーシップ」を支持した事を受けて、取引開始時に支持された。
- 香港ハンセン指数と上海総合指数は低調で、香港では自動車メーカーとテクノロジー企業が、米国の貿易政策の不確実性を受けて低迷し、上海では中国の規制当局が第三者販売者に対するオンラインプラットフォームの手数料に関する草案を発表した事が重しとなった。
- 米国株先物はトランプ米大統領がEUに対する関税期限延期を発表した事を受けて上昇した。
- 欧州株先物は、現金市場が金曜日に1.8%下落してクローズした後、ユーロストックス50先物が1.7%上昇し、現金市場のオープンが高くなる事を示唆している。
外国為替
- DXYはトランプ米大統領がEU製品に対する50%の関税を6月1日ではなく、以前の追加的な相互関税期限である7月9日まで延期すると発表した事を受けて圧力を受け、99.00レベルを下回って後退した。一方、パウエルFRB議長がプリンストン大学の学士イベントでの発言で金融政策と経済に関するコメントを控え、米国参加者がメモリアルデーの休日で長期休暇に入っている為、ニュースフローは比較的少なかった。
- EUR/USDは、トランプ米大統領がフォンデアライエン欧州委員長の関税延期要請を認めた後、1.1400を回復した。
- GBP/USDは、ドル安を利用したが、英国市場がバンクホリデーで休場の為、更なる上昇は制限された。
- USD/JPYは、ドルの圧力が円からの初期の安全資産への逃避を完全に相殺した為、徐々に下落した。
- オーストラリアドルとニュージーランドドルは、リスク選好の早期上昇と、中国人民銀行が4月上旬以来最も強い基準レートを設定した事を受けて、先週のラリーを拡大した。
債券
- 10年米国債先物は、トランプ米大統領がEUに対する50%の関税延期を発表した事と、米国メモリアルデーの祝日により現金国債取引が休場となったため需要が低迷し、110.00レベルを下回って後退した。
- ドイツ連邦債先物は、トランプ氏のEUに対する関税期限延長により安全資産への需要が減退した為、再開時にギャップダウンした。
- 10年物JGB先物は、日本のポジティブなリスクセンチメントと共に先週末の時間外取引の上昇の一部を打ち消したが、長期JGBの最新の流動性供給入札での堅調な需要に支えられた。
コモディティ
- 原油先物は、エネルギー固有の主要な触媒が不足している事と、トランプ米大統領のイランとの非常に良い交渉があり、大きな進展があったという発言、そしてトランプ氏がロシアのプーチン大統領がウクライナに対する過去最大の空爆を開始した事を批判したものの、両国が3日間の捕虜交換を行った事を含む、様々な地政学的なヘッドラインを受けて、レンジ内での推移となった。
- ブルームバーグによると、米国はベネズエラでのシェブロン(CVX)の最低限のメンテナンスの為のライセンスを計画している。
- リビア国営石油会社(NOC)は、ザウィヤ市南部の原油パイプラインで石油漏れが発生し、影響を受けたパイプラインを通じた生産が直ちに停止したと発表した。
- スポット金は、トランプ大統領がヨーロッパに対する50%の関税を6月1日の期限から、以前の7月9日の相互関税期限まで延期すると発表した直後に先物取引が再開され、リスク選好が高まった為、先週の高値から安値に後退した。
- 銅先物は、ドル安を受けて金曜日の上昇の勢いを少々拡大したが、アジア太平洋地域におけるやや不安定なリスク選好により、更なる上昇は抑制された。
暗号資産
- ビットコインは、一夜にして変動したが、最終的には109,000ドルレベルを上回って取引された後、僅かに上昇した。
アジア太平洋地域
- 中国の李首相は、インドネシア大統領との会談で、中国とインドネシアが金融、新エネルギー、デジタル経済、AI、航空宇宙、海洋産業における協力を拡大すると述べた。また、新華社によると、中国はインドネシアとの食糧、農業、貧困削減、健康分野での協力を深めることを望んでいると付け加えた。
- 中国商務省(MOFCOM)は、農業と製造業におけるデジタルインテリジェンスサプライチェーンを加速し、物流コストの削減を促進する為の行動計画を作成した。
- 情報源によると、NVIDIA(NVDA)は、早ければ6月にも新しい中国版Blackwellチップの量産を開始し、Blackwellアーキテクチャを採用した新しいAIチップセットを中国向けに6,500〜8,000米ドルで発売する予定である。
- 韓国の大統領候補である李氏は、短期的に経済を刺激する為に追加予算が必要になると述べた。また、北朝鮮との軍事的緊張の高まりが韓国経済に負担をかけており、米国との関税交渉の期限は見直されるべきだと付け加えた。
中東
- ニールセン米国国土安全保障長官は、イスラエルのネタニヤフ首相と会談し、イスラエルに対するワシントンの無条件の支持を表明した。
- トランプ米大統領は、米国はイランとの非常に良い交渉を行い、大きな進展があったと述べた。
ロシア・ウクライナ
- ロシアとウクライナは、それぞれ1,000人の捕虜を含む3日間の捕虜交換を完了した。
- ロシア国防省は、ロシアがウクライナ東部のロクニア、ストゥポチキ、イトラドネ、ロマーニウカを制圧したと発表した。
- ウクライナ空軍は、土曜日にロシアが14発の弾道ミサイルを発射し、一夜にして250機のドローンをウクライナに打ち上げたと発表し、また、ウクライナは日曜日の朝、ロシアが一夜にして367発のミサイルとドローンで攻撃したと発表した。また、ロシアがモスクワとトヴェリ地域の上空を含む110機のウクライナのドローンを撃墜したとも報じられた。
- ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの一夜の爆撃は、モスクワが戦争を長引かせている理由であり、ロシアに対する新たな制裁のみがモスクワに停戦に合意させると世界に示していると述べた。
- トランプ米大統領は、ロシアのプーチン大統領が行っている事、つまり多くの人々を殺害している事実に納得していないと述べた。また、ロシアに対する更なる制裁を絶対に検討していると述べた。
- トランプ米大統領は、自身のソーシャルメディア「Truth」に次のように投稿した。「私は常にロシアのウラジーミル・プーチンと非常に良好な関係を築いてきたが、彼に何かが起こった。彼は完全に狂ってしまった!彼は不必要に多くの人々を殺害しており、私は兵士の事だけを言っているのではない。ミサイルとドローンは、理由もなくウクライナの都市に撃ち込まれている。私は常に、彼はウクライナの一部ではなく、ウクライナ全体を欲しがっていると言ってきた。そして、それは正しい事だと証明されているかもしれないが、もし彼がそうするなら、それはロシアの崩壊に繋がるだろう!同様に、ゼレンスキー大統領も彼が話している方法では自国に何の利益も齎していない。彼から発せられる全ての事が問題を引き起こす。私はそれが好きではない。そして、それは止めるべきだ。」
- ウクライナへの米国の特使は、キエフへのロシアの攻撃は、1977年のジュネーブ平和議定書の明らかな違反であると述べた。
- ドイツのヴェーデプール外相は、ロシアによる大規模な攻撃は、プーチン大統領が平和に関心がない事を示しており、ロシアに対する追加制裁で対応する必要があると述べた。
その他
- ドイツの国防相は、憲法上の債務ブレーキを緩和した後に利用できる資金を利用して、ドイツ軍が2029年までに武器およびその他の資材を完全に装備する事を命じた。
- 韓国外務省は、中国が暫定的な海域に航行禁止区域を設定した事について懸念を表明した。
- 北朝鮮は、損傷した軍艦が修理中であると発表した。また、軍艦の失態により「国の尊厳を崩壊させた」後、北朝鮮の関係者が逮捕されたとも報じられた。
EU/英国
- Moody'sは、イタリアの格付けをBaa3に据え置いた。見通しは「安定的」から「ポジティブ」に修正された。