岸田首相キーウ電撃訪問とともに行われた日本ウクライナ首脳共同声明

 

ウクライナ大統領府の発表を紹介します

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ロシアのウクライナに対するいわれのない不当な侵略が続く中、2023年3月21日、ウクライナのゼレンスキー大統領と日本の岸田文雄首相はキエフで首脳会談を行いました。

両首脳は、ウクライナと日本の揺るぎない連帯を再確認し、二国間関係を含む幅広い問題について議論し、二国間関係を特別なグローバル・パートナーシップのレベルにまで高める事を決定し、以下の声明を発表しました。

ロシアのウクライナへの侵略に対抗するための連帯感

1. 両首脳は、ロシアのウクライナに対する違法、不当、無法な侵略を最も強い言葉で非難した。

ロシアのウクライナに対する侵略が、法の支配に基づく国際秩序の根幹を損ない、国連憲章に明記された基本原則、特に主権と領土保全の原則に対する明白な違反であり、ユーロ大西洋地域のみならずインド太平洋地域及びそれ以外の地域の安全、平和及び安定に対する直接的脅威となるとの共通の見解を表明した。

2. 両首脳は、武力又は強制力による領土の暴力的奪取又は国際的に認知された国境を変更しようとする一方的な試みは容認できず、正当化できないとの共通の信念を表明した。

3. ロシアによるウクライナ領土の不法な併合の試みに対して、断固として反対する事に全面的にコミットし続けることを強調した。ロシアは、直ちに敵対行為を停止し、ウクライナ全土から全ての軍と装備を直ちに無条件で撤退させなければならない。

4. 両首脳は、ウクライナの主権と領土保全が国際的に承認された国境内で完全に回復することが、世界の平和、安定及び安全にとって不可欠であると合意した。日本は、公正で永続的な平和を回復するためのウクライナの努力を称賛し、ボロディミル・ゼレンスキー大統領の平和の実現に向けた努力に対する支持を表明した。

5. 両首脳は、ウクライナの市民及びエネルギー施設を含む重要なインフラに対するロシアの無差別攻撃を最も強い表現で非難した。

6. 両首脳は、ロシアの軍事的努力を抑止するためには、対ロシア制裁の維持・強化が不可欠であることに合意し、第三国がこれらの措置を回避したり損なったりしなよう期待を表明した。

7. 両首脳は、戦争犯罪及びその他の残虐行為が罰せられないことがあってはならないことを強調した。その上で、国際法に従って全ての加害者を裁くとのコミットメントを改めて表明した。

8. ロシアの核兵器使用の脅威を、国際社会の平和と安全に対する深刻かつ容認できない脅威として非難し、ロシアの核兵器使用には、明白な国際的非難と断固とした対応がとられることを強調した。両首脳はロシアの77年にわたる核兵器不使用の記録を破ってはならないことを強調した。

9. ロシアがザポリージャ原子力発電所を奪取し、軍事化し続けていることに深い懸念を表明した。この状況は、原発からロシアの軍隊と装備を完全に撤退させる事によってのみ解決される。日本は、特にIAEA専門家の常駐と、原発及びその周辺のインフラにおける全ての敵対行為の停止を通じて、ウクライナの原子力安全を強化するための国際原子力機関(IAEA)の努力への支持を表明した。

10. 両首脳は、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の「ウクライナからの穀物」イニシアティブ、国連とトルコの仲介による「黒海穀物イニシアティブ」及び「EU・ウクライナ連帯の道」の更なる実施の重要性を強調した。

11. 両首脳は他者に責任を転嫁することを目的とした、情報操作及び偽情報キャンペーンを世界中で継続的に使用しているロシアを非難した。

日本のG7議長国としての枠組みでの協力関係

12. ゼレンスキー大統領は、日本のG7議長国としての積極的なリーダーシップ、特にウクライナ政府のニーズに応え経済支援を増やしたことに深い感謝の意を表明した。両首脳は5月19日から21日に広島で開催されるG7サミットに向けてゼレンスキー大統領が参加する様に調整する用意があることを再確認した。

13. 岸田文雄首相は、G7議長国として日本がロシアに対する厳格な制裁を課すというG7の結束を支持し、ウクライナのエネルギー部門への支援に関するG7+外相会合などの国際的な形式を通じてウクライナへの支援を提供すると述べた。

14. 両首脳は、ウクライナと日本が協力、友好、相互連帯の豊かな歴史を持つことを指摘した。ウクライナと日本が、自由、民主主義、法の支配、国際法及び人権の尊重といった共通の基本的価値を有していることを強調し、この観点から、両首脳は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を促進するためのコミットメントを強化する意図を再確認した。

15. 昨年、ウクライナと日本の外交関係樹立30周年を迎えたことを考慮し、両首脳は、両国が、貿易・経済関係、インフラ整備、グリーン転換、科学・文化協力、人的交流を含む多くの分野において、二国間パートナーシップをさらに拡大する大きな可能性を秘めていることを認識した。

16. ゼレンスキー大統領は、日本とその国民がウクライナを継続的に支援していることに感謝の意を表した。日本が既に発表した総額71億米ドルの資金・人道支援等は、ウクライナの多くの人々の命を救い、侵略から国を守り、ウクライナに公正で永続的な平和を取り戻すために戦っている人々を鼓舞するものである、と語った。岸田文雄首相は、日本のウクライナに対する揺るぎない支持を表明し、日本がウクライナとその国民とともにあることを再確認した。

17. 日本は、ウクライナの戦後の復旧・復興に尽力することを再確認した。両首脳は、復旧・復興プロセスにおいて民間部門が重要な役割を果たすという共通の見解を表明した。また、このプロセスを契機として、両国の協力関係をさらに拡大することが必要であることを強調した。さらに、両首脳は、ウクライナの司法改革、法執行、汚職との闘いなど、ウクライナの強固で持続可能な戦後復興の基礎となるべき分野における協調を促進する上で、大使級グループを含むG7の役割に言及した。

18. ウクライナは、戦争により影響を受けたウクライナの文化遺産の保護・保全のため、日本が支援を提供する用意があることを歓迎した。

19. 両首脳は、原子力安全、医療及び文化機関への支援を含むウクライナの社会経済開発を効果的に支援するための政府開発援助(ODA)のメカニズムを通じた二国間協力の重要性を強調した。

地域・国際舞台での協力

20. 両首脳は、特に日本が2023年にG7の議長国、2023-2024年に国連安全保障理事会の非常任理事国を務めることを踏まえ、国際舞台での協力を深めていく意向を表明した。

21. 両首脳は、国連安全保障理事会をより代表的で、正当かつ効果的で、21世紀の国際社会の実情に沿ったものとするために緊密に協力する用意があることを表明した。

22. ユーロ・アトランティックとインド太平洋の安全保障の不可分性を認識し、両首脳は、自由、民主主義及び法の支配といった基本的な価値及び原則を共有する重要なパートナーとして、法の支配に基づき、国連憲章に規定された目的及び原則に従って自由で開かれた国際秩序を維持し強化すべく協力する意図を再確認した。この点に関して、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、防衛力の抜本的強化や外交努力の強化を含む日本の国家安全保障戦略が採択されたことを賞賛した。

23. 両首脳は、包摂的で法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋地域の実現に向け協力することに合意した。

24. 両首脳は、国際法、特に平和的手段による紛争解決義務及び航行・飛行の自由に関する規定を有する国連海洋法条約(UNCLOS)を尊重することが極めて重要であることを再確認した。

25. 両首脳は、東シナ海及び南シナ海の状況に深刻な懸念を表明し、力又は強制力によって現状を変更しようとするいかなる一方的な試みにも強く反対した。また、台湾海峡地域の平和と安定が国際社会の安全と繁栄に欠くことのできない要素であることを強調し、台湾海峡地域の平和と安定の重要性を強調した。両首脳は、海峡における問題の平和的解決を呼びかけた。

26. 両首脳は,NPT体制の維持及び強化,核軍縮及び核不拡散の促進並びに軍備管理のために協力することを約束した。

27. 両首脳は、国連安全保障理事会(UNSC)の関連決議に違反する北朝鮮の核兵器及び弾道ミサイル(大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を含む)の開発を強く非難した。両関連する国連安保理決議の完全な実施と、関連する国連安保理決議に従って北朝鮮の全ての大量破壊兵器(WMD)及び弾道ミサイルを完全かつ検証可能で不可逆的に破壊することへのコミットメントを再確認した。両首脳は、拉致問題に直ちに対処することの重要性を強調した。

キエフ、2023年3月21日