https://youtu.be/RB0rz4A2EPA?si=jfspJBOSE4zYIzBX
中国国営新華社は李克強氏の死亡について「先日上海で静養していた中国共産党第17、18、19期中央委員会政治局常務委員で元国務院総理の李克強同志が、2023年10月26日心臓発作を起こし懸命の救命活動にも関わらず、10月27日午前0時10分死去。享年68歳。」と伝えました。
少し前に李克強が現地を訪れた際の写真や動画がネット上に出回っていただけに、今回の突然の死は中国全土で疑問視されています。
李克強が死亡したとされる上海のホテルは上海东郊宾馆と報道されており、ここのプールで水泳中に心臓麻痺を起こしたとも言われています。
上海のこの場所にあるホテルです。
このホテルのプール⇩
中国共産党高官らは在任中、党によって健康状態を管理されています。例えば3期以内の政治局常務委員会の委員は全員最高レベルの医療を受ける事ができ、退職後も専従の医療チームが健康管理を行っています。
この為、68歳という年齢で亡くなった李克強氏の死は奇妙だと言われています。辞任に追い込まれ、心筋梗塞で亡くなった胡耀邦元首相でさえ、辞任から2年後に亡くなっていますので。
中国問題専門家は「共産主義青年団(共青団)」の最後の指導者、李克強氏の死は確かに奇妙だと指摘しています。
共青団は習近平指導部に対峙できる三つの勢力の一つで、残りの二派は故江沢民率いる「上海閥」と和红・军二代です。今回の件は習近平氏に都合が良い展開ですが、現時点ではこの事件が暗殺であったという証拠はありません。
シンガポール国立大学の中国分析専門家は李氏の死は中国の体制に影響しない、と指摘
李克強氏が最後の指導者を務めた共青団の力はここ10年で弱まり、当初は政治局入りを認められていた胡春華氏さえも最終的には習近平派に抹消されています。
したがって、李克強氏の死は党内の闘争を激化させるまでには至らない可能性が非常に高い。
さらに李克強氏は首相在任中に経済を担当していましたが、改革開放を中心とする鄧小平路線だった彼は習近平氏に押さえつけられ、まったく思う様に動けていませんでした。
習近平氏は通常首相の仕事である経済問題に介入し締め付けを強め、その結果李克強氏は疎外される事となっていました。
それでも人々が李克強氏を尊敬する理由は中国経済が崩壊する事を予測し、経済を救う為に介入しようともがいていた事を知っているからです。
中国共産党内で見られるような政治闘争のやり方は極めて残忍で、李克強氏が一線を画して活躍するという事は容易ではありませんでした。
習近平氏のゼロコロナ政策によって中国経済は失速し、社会は荒廃しました。
李克強氏は低迷した経済を何とかする為に「露店経済」を奨励しましたが、北京や上海の市党委員会で習近平氏の取り巻きの抵抗にあって頓挫しています。
中国人は「中国にはまだ月収1000元(2万円位)以下の人が6億人いる」という李克強氏の発言を覚えています。 これは習近平氏が「中国は平和と繁栄の中で、中程度の豊かな社会に入った」と宣言した事に対し、嘘をつくなと暗に匂わせたものでした。
以前フランスの『ル・モンド』紙は、国家主席や共産党の指導者になってもおかしくないほどの経済的才能を持つ李克強氏の声が、ごく稀にしか聞かれなくなったと報じています。
昨年8月、深センを訪れた李克強氏は「改革開放は止まらず、長江と黄河は逆流しない」と発言しましたが、これは習近平氏の発言に対する明確な反論でした。
https://youtu.be/f9DhOa8hGR0?si=PZG4uvAoKFkWa5LP
今年3月に首相を退任する数日前、李克強氏は同僚に別れを告げる際、突然「人在做,天在看(人の行いを、天は見ている」と言い放ちました。
https://youtu.be/FhpWsEPj7DA?si=noFHJY5aqXGls-pB
この言葉から僅か数カ月後に急逝した為か、ネット上では多くの追悼の言葉が飛び交っています。 改革時代の終焉、経済成長の栄光の終焉を惜しむ気持ちがそうさせるのかもしれません。