- ロシアは西側諸国の制裁を回避する為に中国の小規模銀行と米ドル以外の通貨(特に元)を利用しています。
- しかし、中国の銀行が二次制裁を恐れ急速に銀行経由の元での支払いを拒否し始めたようで、ロシアは現在、仮想通貨や物々交換取引に目を向けているそうです。
- そこでロシア側を確認した所、本当にこの様な報道がされていました。
イズベスチヤ(かつてはソ連政府の政府見解が発表される公式紙だったメディア)の送金問題についての調査によると、中国の地方小規模銀行は7月からロシア連邦からの支払いの受け取りを拒否し始めました。(中国国営銀行の様な大手はしばらく前に二次制裁を恐れロシアとの送金業務を停止しています)
今年5月以降、ロシア企業は中国の地方小規模銀行を通じて支払いを開始していました。この段階では中国とロシアは中国地方小規模銀行は西側の制裁の影響を受け難いと考えていたようです。
しかし、過去3週間でロシアから中国への支払い状況は複雑になったとロシア企業はイズベスチヤに言っています。
現在、中国の銀行の98%では人民元での対ロシア直接取引は行われていないとの事です。
この状況によって今後ロシアへの商品供給に問題が生じ、更には価格が上昇し、インフレを引き起こす可能性があると専門家は警告しました。
しかし、送金する方法はまだあります。
表向きの取引を隠す決済エージェントへの需要は大幅に増加し、エージェント経由の取引は香港の銀行を通じて実行され始めたとの事。
中国の地方小規模銀行がロシアとの送金業務を行えなくなってきたので、今度は決済代行業者を使って中国との取引を維持したいようです。
問題はこれだけではありません。
ロシアと中国間の支払い問題に加えて、物流の問題も発生。
ロシアに商品を売っている中国企業は第三国を通じてロシアに商品を輸出するよう求め始めた、とロシアメディアが報道しています。
ロシア企業の代表者らはイズベスチヤにこの件について語っており、彼らによると、こうした引き締めは7月中旬から顕著になったそうです。
これは主に、電子機器を含む西側からの制裁リストに載っている商品です。
ロシアとの取引履歴が欧米に発見される事を恐れた中国企業は、イランなどの第三国経由で商品を発送するよう求めており、ロシアの専門家らは中国企業は新たな配送ルートを見つける事になるだろうと考えている様です。
これまでのところ、中国からロシアへの輸入は依然として高水準にあります。
第三国経由でロシア連邦に商品を届ける
ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所副所長は「第三国経由でロシアに商品を届ける主なスキームは2022年の早い時期に構築され、キルギスからの輸入が3倍、カザフスタンからの輸入が1.5倍に増加した事で機能するのが証明されている。これには東南アジア、トルコ、湾岸諸国も関与している。」と話しています。
中国企業は最近欧米への輸出が低迷し、経済が苦境に陥っている為に、商品の輸出量を維持・増加させる為にこうした制裁逃れのスキーム構築に必死な様子。
中国税関データによると、今年1月から6月にかけて中国ロシア間の貿易高は2023年の同時期と比べて1.6%増加し、総額1366億7000万ドルに達していました。
欧米の制裁は中国の地方中小銀行も含め送金を止める事には成功していますが、中露は第三国の協力者を使っていまだ大々的にロシアに物資を売っています。
これには中露の制裁破りの密輸に協力しているキルギス、カザフスタン、東南アジア、トルコ、湾岸諸国の企業に制裁を強力にかけていくしか策は無いでしょう。