アフリカ諸国の首脳達が昨日、二酸化炭素(CO2)排出に課金する「炭素税」を地球規模で導入するよう求めるナイロビ宣言を採択

 

 

中国によるアフリカの環境破壊を度外視し、中国と脱炭素プロジェクトを進め、西側だけに炭素税を払わせ、私腹を肥やそうとする詐欺に見えます

 

Photo James Wiseman

· China News,グローバリストの動き,特集

https://youtu.be/7KivLCvbifM?si=OXsw36CUMl_kKoac

アフリカ諸国の首脳が昨日、ケニアの首都ナイロビで気候変動対策を話し合う会合を開き、発展途上国での対策費用を捻出する為、二酸化炭素(CO2)排出に課金する新たな「炭素税」を地球規模で導入すべきだと提言する「ナイロビ宣言」を採択したとの事です。

これは11月のCOP28サミットでの交渉姿勢の基礎となる宣言文との事ですが・・・

ナイロビ宣言は、ケニアで3日間に渡り開催されたアフリカ気候サミットを締めくくるもので、気候変動への対策、再生可能エネルギーの開発の為にどのようにしてアフリカに資金を持ってくるかが議論されました。

アフリカ諸国は気候変動対策に必要な年間約3000億ドル(43兆8000億円位)のうち、約12%しか資金提供を受けていないと主張している様です。

最終宣言では、主要な汚染国や国際金融機関がより多くの資金をアフリカに投入し、貧しい国々を支援し、そうした国が手頃な金利で費用を借り入れしやすくする事が大事だと強く要求。

国際通貨基金(IMF)によると、炭素税を課している国は約20カ国あるが、世界的な炭素税制度の構想はこれまであまり盛り上がった事がないと。

世界炭素税を提唱しているのはエジプトのムスタファ・マドブーリー首相、ケニアのウィリアム・ルト大統領、マラウイのラツルス・チャクウェラ大統領、ガボン、ナイジェリア、トーゴなどアフリカ諸国の閣僚等です。

人権活動家から反対意見もあり「ナイロビ宣言そのものが、人権に関して完全に沈黙している」「公正なエネルギー転換は、人権を中心に据えるべきだ」との指摘がなされています。

 

 

中国政府にとって利権化する可能性があるナイロビ宣言

このサミットには中国環境大臣の黄润秋氏が参加しており、開会式で以下の様なスピーチを行っています。

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習近平国家主席率いる中国は世界最大の「発展途上国」として脱炭素目標を打ち出し、国家気候変動適応戦略2035を発表し、世界の再生可能エネルギーのコストを大幅に削減して気候変動への世界的対応に大きく貢献しており、人類運命共同体の構築推進へのコミットメントを示している。

気候変動に対して最も脆弱な地域であるアフリカは、グローバルな気候変動ガバナンスと行動において欠く事のできない重要な地域である。

中国は気候変動に関するアフリカとの協力を積極的に実施し「気候変動に関する中国アフリカ協力宣言」を共同で発表している。アフリカ諸国における低炭素・気候変動適応実証区の建設を積極的に推進し「万里の長城」計画の実施を行っている。

これに合わせてアフリカ諸国の指導者らはナイロビ宣言の中で、西側先進国は自らの約束を守り、発展途上国に対して気候変動関連の投資約束を尊重すべきであると強調しています。

中国は世界最大の「発展途上国」として除外されている所がポイントですね。

 

世界最大の二酸化炭素排出国である中国は、アフリカでの最大の環境破壊国でもあります

彼等の言い分は詐欺同然です。日本を含め西側諸国から資金を集め、中国のアフリカ開発プロジェクトにその金を使おうとしている様にしか見えません。

様々なメディアが中国によるアフリカの環境破壊を報道していますが、その一例をご紹介致します。

西アフリカにおける中国の環境汚染

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アフリカ大陸における中国の債務誘発的なインフラ・プロジェクト一帯一路は、アフリカ地域全体に深刻な懸念を引き起こしています。

アフリカ各国の経済界で中国に対する不信感は高まりつつあるが、常に水面下にある最大の懸念は中国の一帯一路プロジェクトが敏感な地域に及ぼしている、取り返しのつかない生態系へのダメージです。

ここ2、3年で中国との関係を強化し始めた西アフリカが、中国による環境破壊の最前線です。

中国は特に、セネガル、ガーナ、シエラレオネ、ギニア、ナイジェリア、ガンビア、トーゴといったアフリカ西部の国々に焦点を当て始めていて、これらの国々のほとんどは未開発の天然資源を有しており、中国はそれを自国の天然資源需要の為に搾取出来る備蓄、とみなしています。

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例えば、西アフリカ諸国の中で最も小さな国であるガンビアでは中国への抗議デモが続いています。

ガンビアの様々なコミュニティで中国企業に対する反感が高まっている主な理由は、ガンビアの南部に位置する美しいビーチリゾートのグンジュールビーチの海水が中国企業により広範囲に渡って汚染された事です。

https://youtu.be/ybcRz2pqeCk?si=4IEQkHSTBmFhPfzq

2016年、中国資本の魚粉会社がこの地域に工場を開き、廃棄物をすべて海に捨て環境を破壊しました。

その結果、水生動物の死骸が海岸に流れ着きました。汚染が広がり始めて間もなく、水の色が変わり始め、野生生物達が死に始めたと地元の人々は怒りました。

2017年5月22日、魚粉工場がオープンしてからほぼ1年後、近くの野生生物保護区であるボロン・フェニョのラグーンは死んだ魚で埋め尽くされ真っ赤に染まりました。

https://youtu.be/_0fG2i_p1D0?si=pWcbwNLPjf7uSpNb

中国政府に依存する政府が中国に阿り、問題視しなかった事が事態を悪化させ、まともな改善は行われていません。

オランダの非政府組織Changing Markets Foundationは、ガンビアの中国魚粉工場のうち、最大手の工場がガンビアの1年間の漁獲量全体の40%を占める魚を乱獲している事を明らかにしています。

ガンビア政府は近年、中国と緊密な関係を育んできました。物議を醸したヤヒア・ジャメ元大統領の指導の下、ガンビアが台湾と断交した直後の2015年に中国にガンビアの土地の99年間のリース権が与えられ、グンジュールに初めて中国の水産工場がオープンしています。

政治監視団体「ウォッチ・ガンビア」によれば、ガンビアの法律では外国人が26年以上土地を賃貸する事を禁じられているにも関わらず、です。

ガンビアの環境を破壊している中国の工場は現在も変わらず地域のコミュニティや、野生生物に与えた生態系へのダメージを殆ど気にすることなく稼働しているとの事。

この様な被害を受けているのはガンビアだけではありません。

中国と汚職に塗れたシエラレオネ政府と、中国企業によるシオラレオネでの環境破壊

シオラレオネ政府が中国と結んだ5,500万米ドルの協定が、原始的な熱帯雨林を破壊し、魚類資源を略奪、魚の繁殖地と海洋生態系を汚染する「人類と生態系に壊滅的な災害」であるとして、自然保護活動家や地主らから批判されています。

https://youtu.be/ioe6YQYYFeA?si=W7n3vzlLFvgR9BHg

その協定とは、シエラレオネ政府が2021年ガンビアと同じく、漁港と魚粉工場を建設するため中国から5500万ドル(2021年のレートで62億円位です)を受け取っていたというものです。

環境保護活動家達は、この協定が海洋生物を壊滅させ、シエラレオネの食糧安全保障を危険にさらす事は避けられないと非難しました。

しかし状況は改善しません。

その理由は、シエラレオネは中国の植民地と言っても過言ではない状況だからです。

シオラレオネへの中国の影響はいたるところで明らかです。住宅団地、市内のレストラン、ショップ、カジノの多くは中国企業によって建設されていますが、首都の中心部に拠点を置くシエラレオネの国立競技場でさえ中国人によって建設され、全国の小中学校の教室では中国語が教えられています。

英国のテレグラフ紙による共同調査は、中国との汚職にまみれたシエラレオネ政府高官によって支援されている中国人投資家が、いかにシエラレオネの天然資源を略奪し、その過程で人々の健康を害し、深刻な環境破壊を引き起こしているかを探っています。その結果、次の事が明らかになったとの事。

中国は保護された国有林内から花崗岩を違法に採掘し、それを英国やその他の市場に輸出する計画を立てている。

中国が運営する採石場で水源汚染が起きている。

中国が資金を提供する漁港と、イルカを飼育し訓練する「海洋公園」を建設するために、自然のままのビーチを破壊する計画が立てられていた。

環境破壊と同時に、中国のシエラレオネへの投資は、新たな雇用やインフラの改善、教育プログラムなど、否定できない利益を齎している為、完全にシエラレオネは中国に依存しています。

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この様に西アフリカでは生態系への悪影響が大きくなってきています。中国の投資は西側の海に面したアフリカの国々に大混乱を齎しただけではありません。

内陸国のマリでも中国は生態系に影響を及ぼし、災害を引き起こしています。

マリでの中国による環境破壊

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2020年5月から2022年3月にかけて、中国はマリからローズウッドの一種、コソ(紅紫檀)を22万本分(14万8000トン)輸入していた事が、環境保護団体(Environmental Investigation Agency )が発表した報告書で明らかになっています。

コソ(紅紫壇)は高価なアンティーク調の家具に使われる素材です。紅木といわれ中国国内で非常に人気があり、世界の輸出量の約90%が中国に集中している素材です。

2017年から22年にかけて、中国はマリから約50万本(約2億2000万ドル相当)のコソの木を輸入しており、既にマリに生態学的、経済的、社会的に多大な悪影響を齎していると環境保護団体は指摘しています。

以前ローズウッドのコソは主に東南アジアから調達されていましたが、伐採され尽くされた為、中国の貿易業者は西アフリカ、特にマリに目を向けました。

マリはローズウッドのコソの乱獲を規制しましたが、中国からマリ政府高官が高額の賄賂を受け取り、再び禁止されていた原木の輸出が中国に向けて解禁されたことが現地の調査によって報告されています。

ここでもマリ政府と中国の汚職により環境が悲惨に破壊されています。

 

ウガンダで中国国営企業が環境破壊をしながら作ったメガ水力発電所が、たった三年で事故を起こし今も閉鎖中

2019年、米国を拠点とするInternational Rivers(河川保護団体)は中国の国有企業がアフリカでのプロジェクトにおいて河川の環境破壊を行っていると報告しました。

ガーナやコートジボワール等の国内で、インフラプロジェクトの建設に取り組んでいる中国企業よって環境破壊が行われていると言われており、ウガンダでは中国水利电力对外有限公司とウォーター・エレクトリック社が白ナイル川のイシンバ水力発電所の建設を進め問題を起こしました。

https://youtu.be/EOmjvR17UE4?si=EwY8SL4obmJTHgKr

この水力発電所の建設は、保護地域や生息地に手に負えないほどのダメージを与えるだろうと繰り返し警告されていましたが建設が行われ2019年完成。中国企業が施工し、5億6,770万米ドル(620億円位)のコストをかけ建設されました。

その三年後、中国の一帯一路の一環として建設されたこのイシンバ水力発電所は、2022年8月8日月曜日に閉鎖。

閉鎖の理由は2022年8月にダムが氾濫、その対応として設備と発電所を保護し、現場のスタッフの命を守る為に緊急停止が必要となったからだそう。ウガンダの議員達は責任の所在をめぐり紛糾しました。

イシンバ水力発電所の停止後、ウガンダ全土に停電が発生し、社会不安が引き起こされました。

国会での審議後、議長はこの問題を環境・天然資源委員会に付託し、さらなる調査を求めましたが、2023年現在、発電所の氾濫の正確な原因はまだ特定されておらず、調査中との事。

だめですね、これでは話になりません。

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南スーダンで中国国営石油企業が有毒物質排出、環境汚染と重い健康被害

南スーダンでは、中国石油天然気集団と中国石油化工(シノペック)を含む中国国営企業が、有毒化学物質で水や土壌を汚染している石油共同企業体に出資しビジネスを行わせており、工場の周辺住民は先天性欠損症など、驚くほど多くの健康被害を受けていると米国政府が報告。

南スーダンでは中国が支援する石油コンソーシアムは汚職にも手を染めており、開発資金に充てられた資金が、贅沢な暮らしをしている上級政治家の生活費に使われていると報道されています。

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2018年10月1日月曜日撮影のこちらの写真は、南スーダンにある中国企業が運営する廃品置き場に危険な化学薬品の保存に使われていたコンテナがむき出しのまま積み上げられている様子です。

 

特に西アフリカ地域はこのような中国の無責任な振る舞いが、自分達が暮らす土地に早晩もたらす危険性がある事を認識する事が重要だと言われています。

中国からの融資やインフラ整備による短期的な経済発展という利益は魅力的に見えるかもしれないが、このような壊滅的な環境破壊の状況が齎す長期的な結果は、孫の代まで影響を及ぼす可能性が。。。

アフリカでの一帯一路プロジェクトが齎す生態系へのダメージは、確実に取り返しのつかないものである事が証明されています。

それゆえ、特に西アフリカの繊細で不安定な国々は、中国の資金が中国の影響力をアフリカで拡大する為だけにしか役に立たない「愚策」でしかない事に気付く事が重要ですね。

 

アフリカ諸国の首脳が宣言した世界炭素税を要求するナイロビ宣言は、アフリカ諸国首脳の私腹を肥やしながら、こうした環境破壊の詐欺的な中国インフラプロジェクトに流れ込むだけでしょう。

中国政府がアフリカで脱炭素プロジェクトを適切に行い、環境保護をしていると言っていますが大嘘です。完全な詐欺。

それでも残念ながら現在のアフリカ諸国の首脳らは中国の言いなりのペットにしか見えません。

間違っても日本を含めた西側諸国は可哀想などと同調し、世界炭素税導入などしませんようお願いしたいものです。

アフリカに資金を投入する際は、西側諸国がインフラプロジェクトを含め、主導・施工・管理を行う場合だけでよいのです。

二酸化炭素(CO2)排出に課金する「炭素税」を地球規模で導入する案も、中国からの入れ知恵ではないかと疑わしいレベルです。