2025年12月25日、NvidiaがGroq(Googleの機械学習、特にニューラルネットワークの推論と学習を高速化する為に独自に設計したカスタム集積回路の開発を主導した人物の会社)の買収を発表。

Nvidiaが200億ドルという巨額を投じGoogleへの巻き返しを図ります

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Nvidiaが200億ドルという巨額を投じた背景には、GoogleのTPU(Tensor Processing Unit)技術を取り込みグーグルに追いつく事にあります。

TPU (Tensor Processing Unit) は、Googleが機械学習、特にニューラルネットワークの推論と学習を高速化する為に独自に設計したカスタム集積回路(ASIC)です。

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AI開発におけるTPUの主な役割は以下の通りです。

  • 高速な機械学習の実行: TPUは、行列演算などの機械学習に必要な計算を効率的に実行できるよう最適化されています。これにより、CPUやGPUと比較して、より高速な推論と学習が可能になります。
  • 大規模なモデルのトレーニング: 大規模なニューラルネットワーク(大規模言語モデルなど)のトレーニングには膨大な計算リソースが必要です。TPUは、このような大規模モデルのトレーニングを、より短時間で、より効率的に行う事ができます。
  • 低レイテンシ(遅延時間)の推論: TPUは、リアルタイムでの応答が必要なアプリケーション(音声認識、画像認識など)において、低レイテンシで高速な推論を実現します。
  • クラウドベースの機械学習プラットフォーム: Google Cloud Platform (GCP) で提供されるCloud TPUは、TPUの計算能力をクラウド上で利用できるようにするサービスです。これにより、開発者は大規模な機械学習プロジェクトを容易に実行できます。
  • 特殊なアーキテクチャ: TPUは、CPUやGPUとは異なり、機械学習のワークロードに特化したアーキテクチャを持っています。これにより、特定の種類の計算において、非常に高いパフォーマンスを発揮できます。

これをNvidiaは取り込みます。

今回の「ライセンス契約」によって、NvidiaはNvidiaはIronwood TPUとGemini AIによるGoogleの最近の台頭に対し、正式に反撃を表明しました

Googleが自ら「コード・レッド」を発令し、この取引を潰す為に持てる限りの手を尽くすのか、それとも更に強硬な形で反撃するのかはまだ分かりません。

確かな事は一つあります。もしNvidiaがGoogleとTPU技術に追いつく事に成功すれば、Googleが持つOpenAI/Nvidiaに対するアドバンテージが揺らぎます。

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Nvidiaへの具体的な利点

  • TPU技術の獲得: GroqのCEOであるJonathan Rossは、GoogleのTPU開発を主導した人物です。彼の知識とGroqの技術をNvidiaに取り込む事で、NvidiaはTPUアーキテクチャに関する専門知識を大幅に向上させる事ができます。これは、AI推論(推論フェーズの高速化)においてGoogleに遅れを取っていたNvidiaにとって、大きなアドバンテージとなります。
  • AI推論市場での競争: GoogleのTPUは、特にAI推論においてNvidiaのGPUに対する競争力を増していました。Groqの技術を取り込む事で、Nvidiaは自社のAI推論プラットフォームを強化し、Googleに対抗できるようになります。
  • AIエコシステムへの影響力拡大: Nvidiaは、AIインフラストラクチャ全体にわたって投資を拡大しています。Groqの技術を取り込むことで、NvidiaはAIエコシステムにおけるリーダーシップをさらに強化し、顧客がNvidiaの技術に依存する度合いを高めることができます。
  • 新たなチップ設計の取り込み: Groqのチップ設計をNvidiaの製品に統合する事で、Nvidiaはより柔軟なアプローチを取り、顧客の多様なニーズに対応できるようになります。これは、Google、Microsoft、Amazonなどの企業が独自のAIチップ開発を進める中で、Nvidiaが競争力を維持する為に重要な戦略です。

株価への影響

  • 短期的な株価上昇: 今回の買収はNvidia史上最大規模であり、AI推論市場における競争力を高める可能性がある為、投資家からの期待が高まり、株価上昇に繋がる可能性があります。
  • 長期的な株価へのプラス効果: TPU技術の獲得により、NvidiaはAI推論市場での競争力を高め、長期的な収益成長を期待できます。また、AIエコシステムへの影響力拡大も、Nvidiaの長期的な成長にプラスに働きます。
  • 規制当局の承認が不透明な場合、株価に悪影響: もし規制当局が買収に反対した場合、株価が下落する可能性があります。また、GoogleがNvidiaの買収に対抗措置を講じた場合も、株価に悪影響を与える可能性があります。
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