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2025年6月のアメリカの消費者物価指数(CPI:インフレ率)が発表されました。
今のところ、トランプによる関税政策がアメリカのインフレ(特にコアインフレ)を急激に押し上げている証拠は出ませんでした。
エネルギーや一部のカテゴリを除いて、物価上昇は比較的落ち着いており、メディアや一部の専門家が懸念する『関税による激しいインフレ』は数字上、まだ表れていません。
市場の予想では、6月の物価上昇率は緩やかな加速が見込まれていましたが、実際に発表された消費者物価指数は予想通り前月比+0.3%の上昇となりました。
また、前年比では+2.7%の上昇となり、前回の+2.4%から伸びが加速し、市場予想の+2.6%も上回る結果に。
この前月比の加速は、エネルギー価格のデフレからインフレへの転換によってもたらされました。

インフレ率(CPI)の動き
全体のインフレ率(CPI)
6月のCPIは前月比(MoM)+0.3%、前年比(YoY)+2.7%と、市場予想通りかやや強め。ただし、「コアCPI」(食品とエネルギーを除いた指数)は+0.1%(前月比)と予想(+0.2%)より低くなっています。
一部の価格は下落
特に「新車・中古車」の価格は下落(本来インフレ時には上がる筈とされていましたが、下がっていたので予想外)。

CPIの内訳
上昇した項目
- 住宅費(shelter):+0.2%(やや鈍化)
- エネルギー:+0.9%
- 食品関連:+0.3%
- 家具・医療・娯楽など:微増
下落した項目
- 中古車・新車、航空運賃:減少
- 家賃・住宅関連のインフレ率は過去数年で最低レベルまで低下(3.8%台へ)。
- 6月の家賃インフレ率は前年比3.77%で、5月の3.80%から低下し、2022年1月以来の最低水準となりました。
- 6月の住宅インフレ率は前年比3.80%で、5月の3.86%から低下し、2021年10月以来の最低水準に。
- スーパーコアCPI(住宅を除くサービス)は前月比0.36%上昇し、前年比では価格が3.34%上昇。これは2月以来の高値だが、年初来高値からは大きく下がっています。

今後の見通し
3ヶ月・6ヶ月の年率換算でも「関税インフレ」の兆候は見られない。
- 医療費や一部サービスでは値上がりが目立ち始めているが、これはむしろ関税以外の要因。
コアCPIは5か月連続で予想を下回っています。空が落ちてくると予測するアナリスト集団は引き続き間違っていました。

マーケットは動かず、警戒されていたCPI(インフレ率上昇)を乗り越えました。
