トルコがスウェーデンのNATO参加に合意し、「歴史的な日」となりました

 

 

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今週月曜日、トルコのエルドアン大統領はEUがトルコの加盟交渉を開始すれば、トルコはスウェーデンのNATO加盟を支持すると主張しました。しかしEUは直ぐにスウェーデンのNATOへの加盟とトルコのEU加盟は全く異なる手続きであるので関係ないと反論。

エルドアン大統領は「トルコはEUへの入り口で50年間待たされてきた。私達を待たせている国々に対して、私はビリニュス(リトアニアの首都で次の様に言いたいと思います。先ずトルコにEUへの扉を開く事、そうすると、次にフィンランドに関して我々が以前にそうしたように、スウェーデンのNATO加盟への道が開くでしょう。」と言っていました。

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その後、直ぐにエルドアンはスウェーデンのNATO加盟を承認した様です。

NATOのストルテンベルグ事務総長は月曜夜の記者会見で、トルコはスウェーデンのNATO加盟に対する拒否権を解除する事を決定し、エルドアン大統領とスウェーデンのクリステルソン首相がスウェーデンのNATO参加申請を進める条件で合意したと発表しました。

ストルテンベルグ氏は、「エルドアン大統領は、スウェーデン加盟をできるだけ早くトルコ議会に送付し、批准を確実にする為に議会と緊密に協力する事に同意した」と述べました。

これを受けて、スウェーデンではNATO参加は「200年に渡るスウェーデンの非同盟状態に終止符を打った歴史的な日」と報じられています。

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スウェーデンはいつNATOの正式加盟国になるのでしょうか?

スウェーデンがNATOの正式加盟国となる前に必要な議会プロセスは、トルコとハンガリーの議会による正式な批准のみです。トルコのプロセスに関しては、急速に進む可能性があると言われています。

トルコ議会は今週開催される筈で、早ければ今週中に決議されるかもしれないとの事。

 

スウェーデン政府公式によるNATO加盟についての説明

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NATO加盟がスウェーデンにとってどのような意味を持つか紹介されています。

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NATO加盟はスウェーデンの安全保障にとって何を意味しますか?

スウェーデンのNATO加盟は、スウェーデンにとってもNATO全体にとっても安全保障を強化するもので、スウェーデンは北大西洋条約第5条に基づく相互防衛保証の対象となり、安全保障が強化されると共に、敵対勢力がスウェーデンに対して軍事力を行使する事を抑止する事ができます。

近年、スウェーデンに対する敵対的脅威は、情報への不当な影響力工作、偽情報工作、影響力工作、サイバー攻撃、テロと破壊工作、重要インフラへの脅威、経済的依存関係の悪用など、広範かつ複雑さを増しています。これらに対処できるのです。

NATO加盟国が共同防衛計画を実行するとはどういう意味ですか?

NATOには同盟国に対する共同防衛計画があり、その目的は危機の発生から作戦開始までの時間をできるだけ短くする事です。スウェーデンは加盟国としてNATOの防衛計画に組み込まれ、同盟国の領土と安全保障に対するNATO共同防衛に参加する事になります。

これはとりわけ、スウェーデンがNATO軍の指揮系統の一部となり、それに貢献する事を意味します。

NATO は共同能力計画も実施します。能力計画プロセスを通じて、NATOは同盟国および個々の同盟国がそれぞれの任務を遂行し、NATOの集団防衛を維持する為に必要な軍事能力を特定します。

・スウェーデンはNATOにどのように貢献しますか?

NATOへの加盟により、スウェーデンの防衛力はNATOの同盟全体の集団防衛の一部となり将来的に同盟全体の防衛力を高めることになります。スウェーデンは加盟国として、同盟全体の抑止力と防衛のためのNATOの措置の枠組みの中で以下の点で貢献できます。

北米から欧州への増援を可能にする為に不可欠なスウェーデンの地政学的位置を提供できます。

スウェーデンが他の同盟国を支援する能力(ホスト国支援を含む)、これは同盟国が欧州の当地域で活動する上で極めて重要で、連合軍の地上・海上・航空部隊の準備・基地として機能し、連合軍に補給・中継地を提供するなど、領土を提供できることが期待されています。

※スウェーデンNATO加盟により、バルト海の沿岸国はロシアを除き全てNATO加盟国となり、バルト海が「NATOの海」となります。

スウェーデンはバルト海という過酷で独特な環境に海軍部隊を展開するユニークな能力を持っています。

スウェーデンの具体的な貢献としては、NATOの領空監視への支援、NATOの常備海軍への海軍の貢献などが考えられ、スウェーデンは同盟国に対し、スウェーデン領内で陸海空軍を対象とした演習や訓練の機会を提供することも出来ます。演習は同盟内の相互運用性を強化し、その結果、スウェーデンを集団的に防衛する能力も強化されます。

スウェーデンはすでに、NATOの統合防空・ミサイル防衛を強化することを目的とした欧州スカイシールド・イニシアティブ(ESSI)に参加しています。

・NATOは独自の軍隊を持っていますか?

NATO には独自の軍隊はありません。

NATOは独自の軍隊を持っておらず、各加盟国はどの資源と部隊をNATOに提供できるかを独自に決定します。

同盟国の集団防衛は各加盟国の軍事力をNATOの指揮下に置くことを基本としており、NATOは共通の指揮系統、計画資源、通信能力を有しており、状況に応じて迅速に行動する事ができます。

NATOの恒久的な指揮系統のお陰で、同盟国は要求の厳しい領土防衛や危機管理活動を計画し、実施する能力と資源を有していますが、これらの資源や能力は、国連やEUにはないものです。

・スウェーデンまたは他の同盟国が武力攻撃を受けた場合はどうなりますか?

NATOは相互防衛保証に基づく防衛同盟であり、スウェーデンは加盟国として、北大西洋条約第5条に基づく相互防衛保証の対象となります。

つまり、スウェーデンに対する武力攻撃はすべてのNATO加盟国に対する攻撃とみなされ、他の加盟国は必要とみなされる措置でスウェーデンを支援する義務を負う事になります。

他の同盟国がスウェーデンを支援する義務を負うのと同様に、スウェーデンも他の加盟国に対する武力攻撃をスウェーデンに対する攻撃とみなし、必要とみなされる措置で同盟国を支援する義務を負う事になります。

・NATOは核兵器を持っていますか?

NATOは独自の核兵器を持っていません。同盟国3カ国(米、英、仏)は独自の核兵器を持っており、これらは国家資産です。核拡散防止条約(NPT)は、承認された核保有国(米、英、仏、中、露)のみに核兵器の保有を認めています。

・NATOは紛争や戦争を防ぐ為にどのように機能しているのでしょうか?

NATOは集団防衛と加盟国の平和と安全の維持を主要任務とする防衛同盟であり、NATOの抑止力と防衛措置は戦争を抑止し、平和を構築する事を目的としています。

NATOは民主主義的価値を促進し、同盟国およびNATO加盟国間の防衛・安全保障問題に関する協議と協力を奨励しており、協力は信頼を築き、最終的には紛争を防止する事を目的としています。北大西洋条約を通じて、連合国は国連憲章に従い、あらゆる国際紛争を平和的手段によって解決し、国連の目的に反する武力による威嚇や行使を国際関係において行わない事を約束しています。

集団安全保障を脅かす脅威に対応する為のNATOの7つの基本要件
1.政治的意思決定と中央指揮機能の確保

2.回復力のあるエネルギー供給

3.制御されていない人口移動の効果的な管理

4.回復力のある食糧・飲料水供給システム

5.大量死傷者の管理

6.回復力のある民間通信システム

 

NATO事務総長ストルテンベルグは同盟国が同意し条件が満たされればスウェーデンに続き、ウクライナもNATOに参加すると発表しています。

現在開催されているNATO首脳会議での記者会見での発表でした。