トランプ関税と世界各国の昨日の動き

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米国の株式市場

米国の株式は、序盤の下げ幅を縮小し、おおむね上昇して取引を終えました。しかし、国内で発表された一連の経済指標、特に低調な小売売上高と予想を下回るPPI(生産者物価指数)によって、上昇幅は限定的に。これらの指標を受けて、利回りが低下し、金融市場では年末までにFRB(連邦準備制度理事会)による2回の利下げが完全に織り込まれる状況となりました。ただし、その他の経済指標はまちまちで、新規失業保険申請件数は予想通りでしたが、フィラデルフィア連銀とニューヨーク連銀の景況指数は予想を上回ったものの、依然としてマイナス圏にとどまりました。

主要株価指数は、ナスダックを除いておおむね上昇。ナスダックは、主要7銘柄(マグニフィセント・セブン)が全て下落し、中でもMETAは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた主力AIモデル「ベヒーモス」の公開延期により、取引終盤に更に圧迫されました。

  • SPX(S&P500種株価指数):5,917 (+0.41%)
  • NDX(ナスダック100指数):21,336 (+0.08%)
  • DJI(ダウ工業株30種平均):42,323 (+0.65%)
  • RUT(ラッセル2000指数):2,095 (+0.52%)

貿易/関税

  • トランプ米大統領は、インドが米国に対する全ての関税を撤廃する事を申し出たと述べました。
  • ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として報じたところによると、トランプ米大統領政権は、EUに対し、貿易交渉においてEUの農産物関税および非関税障壁について議論したいと伝えました。米国はまた、経済安全保障についても協議したいと考えています。経済安全保障は、特定のセクターやサプライチェーンにおける中国の経済的支配に関する懸念や、デジタル問題に関連してよく使われる用語です。
  • ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、トランプ米大統領政権は、欧州のデジタル法を基本的人権と米国企業に対する脅威と見なしています。
  • シェフチョビッチEU貿易担当委員は、ルットニック米国商務長官と貿易交渉の加速で合意したと述べました。
  • 時事通信によると、米国は日本との二国間関税交渉において、日米貿易協定の見直しを検討しているとの事。

注目すべきヘッドライン

  • パウエルFRB議長は、4月のPCE(個人消費支出)物価指数はおそらく前年比2.2%程度(3月は2.3%)になると述べ、FRB当局者は雇用と平均インフレ率の双方における戦略的な文言を見直す必要があるという点で合意していると述べました。また、2020年に採択した枠組みの修正について2日間の見直しを行っていると付け加えました。
  • バーFRB副議長は、米経済は堅調であり、インフレ率は2%に向かっていると述べましたが、貿易政策が景気見通しを曇らせているとの事。また、貿易ショックは中小企業に特に大きな打撃を与え、サプライチェーンが影響を受けたり、企業が破綻したりした場合、価格上昇を引き起こす可能性があると付け加えました。
  • ジョンソン米下院議長は、SALT(州・地方税控除)に関する合意に非常に近づいており、来週の税制法案の可決に向けて順調に進んでいると述べました。
  • ブルームバーグによると、カタール投資庁は今後10年間で米国に5,000億ドルを投資する計画。
  • ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、メタ・プラットフォームズ(META)は主力AIモデルの公開を延期しており、社内で数十億ドル規模のAI投資の方向性に対する懸念を引き起こしています。

経済指標

  • 米小売売上高(4月):0.1%(前回:1.4%、改定値:1.7%)
  • 米小売売上高(自動車除く)(4月):0.1%(予想:0.3%、前回:0.5%、改定値:0.8%)
  • 米鉱工業生産(4月):0.0%(予想:0.2%、前回:-0.3%)
  • 米PPI(生産者物価指数)最終需要(4月):-0.5%(予想:0.2%、前回:-0.4%、改定値:0.0%)
  • 米PPI(生産者物価指数)最終需要(4月):2.4%(予想:2.5%、前回:2.7%、改定値:3.4%)
  • 米NY連銀製造業景気指数(5月):-9.2(予想:-10.0、前回:-8.1)
  • 米フィラデルフィア連銀景況指数(5月):-4.0(予想:-11.0、前回:-26.4)
  • 米新規失業保険申請件数(週):22.9万件(予想:22.9万件、前回:22.8万件、改定値:22.9万件)
  • 米継続失業保険申請件数(週):188.1万件(予想:189万件、前回:187.9万件、改定値:187.2万件)

為替

  • 米ドルは、低調な小売売上高や予想を下回るPPI(生産者物価指数)を含む一連の経済指標を受けて、やや圧迫。これらの指標を受けて、金融市場では年末までにFRB(連邦準備制度理事会)による2回の利下げが完全に織り込まれる状況となりました。また、パウエル議長を含むFRB当局者の発言は、殆ど影響を与えませんでした。
  • ユーロは1.1200ドルの水準を挟んで方向感に欠ける動きとなり、米ドルの下落から僅かに恩恵を受けた程度でした。
  • ポンドは、予想を上回る英国のGDP(国内総生産)データに支えられ、僅かに上昇しましたが、景気敏感通貨の低調なパフォーマンスによって一部相殺されました。
  • 円は、弱気な経済指標とそれに伴う米利回りの低下を受けて、安全資産としての需要が下支えとなり、上昇。
  • メキシコの金利(5月)は8.5%(予想:8.5%、前回:9.0%)に据え置かれ、決定は全会一致でした。また、金融政策スタンスを引き続き調整し、同様の規模で調整を検討する可能性があると見込まれています。

債券

  • 米国債は、低調なPPI(生産者物価指数)と弱気な小売売上高データを受けて下支えされました。

商品

  • 原油価格は下落しました。トランプ米大統領が、米国はイランとの合意に近づいており、平和を実現する為の真剣な交渉を行っていると述べた事や、トランプ政権が週末の交渉でイランに新たな核合意案を提示した事が逆風となりました。しかし、イラン側からのコメントで、核紛争における未解決の問題を解決する為の新たな米国の提案は受けていないと述べた為、原油価格は今日の最安値から部分的に反発しました。
  • IEA(国際エネルギー機関)は、2025年のGDP成長率予測の上方修正と原油価格の下落を理由に、2025年の平均石油需要増加予測を2万BPD引き上げ74万BPDとしました。しかし、世界の石油需要の伸びは、2025年の残りの期間で65万BPDに低下すると予測しています(第1四半期は99万BPD)。

地政学的リスク

中東

  • トランプ米大統領は、米国はイランとの合意に近づいており、平和を実現する為の真剣な交渉を行っていると述べ、二段階の手順を踏んでイランを脅迫したくはないと述べました。トランプ氏はまた、イランは合意の条件に「ある程度」同意しており、カタールの首長からの支援を受けて「非常に幸運」であると付け加えました。
  • アクシオスが関係者の話として報じたところによると、トランプ米大統領政権は、週末の交渉でイランに新たな核合意案を提示したとの事。しかし、イラン高官は、核紛争における未解決の問題を解決する為の新たな米国の提案は受けていないと述べました。
  • イラン革命防衛隊のトップ司令官は、トランプ米大統領に対し、イラン国民は2020年に殺害されたコッズ部隊の司令官ソレイマニの「殺人者」と見なしていると述べました。
  • 米国は、イランが支援するヒズボラに対する新たな制裁を発動しました(財務省のウェブサイトによる)。

ロシア-ウクライナ

  • トランプ米大統領は、ロシアのプーチン大統領と会うまで何も起こらないと述べました。
  • ウクライナは、トルコでのロシアとの協議に「適切な」レベルの人物を派遣する事を検討していました。また、ゼレンスキー大統領はトルコでのロシア・ウクライナ和平交渉には参加せず、代表団を派遣すると報じられました。
  • クレムリンは、ロシア代表団はイスタンブールにおり、ウクライナ側を待っていると述べました。また、今後数日以内にプーチン大統領が訪問する準備はなく、トランプ氏が訪問した場合にプーチン大統領がイスタンブールに行く事を検討するかどうかを尋ねられた際には、何も合意されていないと述べました。更に、クレムリンのペスコフ報道官は、プーチン大統領がトルコでの協議に参加する可能性はないと述べました。
  • ロシア大使は、ウクライナでの停戦は紛争解決の戦略が合意された場合にのみ可能であると述べました(TASS通信による)。
  • ルビオ米国務長官は、ウクライナの協議に高い期待は抱いておらず、金曜日にイスタンブールでトルコの外国大臣とウクライナ代表団と会談すると述べました。ルビオ氏は、金曜日の協議の結果を見てから、トランプ・プーチン会談の可能性のある日程を決定すると述べました。また、ロシア側が派遣したチームのレベルは、事態の打開を示唆するものではないと指摘。
  • ロイター通信がトルコの外交筋の話として報じたところによると、トルコの外国大臣とルビオ米国務長官は、トルコでの会談で、ウクライナとロシアの直接協議に向けた取り組みを継続する事で合意しました。

その他

  • エストニアがロシアの影の艦隊タンカーを拘束しようとしたところ、ロシアが戦闘機を派遣して「状況を確認」し、その戦闘機がNATO(北大西洋条約機構)の領空を「約1分間」侵犯した(エストニアの外国大臣による)。
  • パキスタンの首相は、インドに対し、和平について話し合う用意があるというメッセージを送りたいと述べました。

アジア太平洋

  • 李克強中国首相は、国内の経済循環強化をより目立つ位置に置く必要があり、貿易企業を正確かつ効果的に支援する必要があると述べました。また、雇用を安定させ、消費を促進し、効果的な投資を拡大する為に、あらゆる手を尽くす必要があると述べました(CCTVによる)。
  • The Informationによると、中国はAI(人工知能)データセンターに対する規制を強化しました。

EU/英国

  • フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、EU(欧州連合)の首脳は、スターマー英首相に対し、土壇場の「リセット」協議でモビリティ(人の移動)協定を改善するよう促しました。
  • フランスのルメール財務相は、中国の何立峰副首相との会談後、コニャックの貿易問題については解決策を見出せなかったものの、協議の扉は依然として開かれていると述べました。
  • ECB(欧州中央銀行)のデ・ギンドス副総裁は、ユーロ圏の金融安定は、市場の混乱と大きな不確実性を通じて健全な状態を維持してきたと述べました。