
現状
株価下落:S&P500は過去3週間で最悪の日となり、特にナスダックは解放記念日以来で最大の2日間での下落となる見込みです。これは、モメンタムファクターの巻き戻し(高成長株の売却)とAI関連株の売却が主な要因です。

米株はテック主導で下落。特にAI関連・メガテックに偏った「モメンタム(勢い)銘柄」の巻き戻しが目立ち、ナスダックが大きく下げた一方、欧州・アジアは相対的に健闘(彼らの株式指数はテック比率が低い)。
等加重平均のS&P500が時価総額加重平均のS&P500を上回っており、大型株から小型株への資金の流れが示唆されています。
欧州やアジア市場は、テクノロジー株の比率が低い為、米国市場よりも下落が少なかった感じ。
債券市場は9月の利下げの可能性を高めており、これは景気後退への懸念が背景にあると考えられます。JPモルガンの景気後退L/S(ロングショート)バスケット(JPRECES Index)が上昇しており、この懸念を裏付けています。
トレーダーが休暇中の為、市場の取引量が少なく、個人投資家の買いが少ない状況でもあります。
中期的には「テック一極」から「循環株・バリュー・中小型(SMid)」へと物色が広がる可能性がありますが、今週の値動き自体はその健全なローテーションというより「弱気ポジションの表明」に近いと感じたとモルガンは言っています。。
今週は購買担当者景気指数(PMI)やジャクソンホールが控え、まだ物語は変わり得ます。
ジャクソンホール(FRB議長講演)の重要度今回は大きな新情報は出ないとの見方が優勢。9月利下げの可否は、9/5の雇用統計(NFP)と9/11のCPI次第で、ジャクソンホール単体の市場インパクトは限定的との見解。

JPMの見立て(マーケット・インテル)
JPモルガンは、今回の株価下落を「買いのチャンス」と見ています。
ただし、弱気な見方に転じる可能性もあり、そのトリガーは、PMI(購買担当者景気指数)の悪化、失業率の悪化、またはジャクソンホールでのパウエル議長のタカ派的な発言(金融引き締めを示唆する発言)です。
「押し目買い」判断と転換条件
JPMは「現在の下げは押し目買いの機会」と評価。ただしスタンスを弱気に反転させる条件も明示。
スタグフレーションの兆候(景気指標の弱さ+インフレ上昇)がスタンスを弱気にさせると評価しており、具体例として弱いフラッシュPMI、悪化する新規失業保険申請などの雇用指標、パウエルの予想外のタカ派発言が挙げられています。
強気シナリオの材料としては、来週のエヌビディア(NVDA)決算が好調であれば、それがAIテーマを再点火する可能性があるとしています。
モメンタムの巻き戻し
現在のモメンタムファクター(株価上昇率の高い銘柄に投資する戦略)の巻き戻しは、過去の平均的な巻き戻しと比較して同程度。

NVIDIAの影響
NVIDIAの決算発表は、ジャクソンホール会議よりも重要なイベントになるとJPモルガンは考えています。

補足
AIテーマ: 人工知能関連の企業や技術に対する関心の高まり。
PMI: 企業の購買担当者へのアンケートを基に算出される経済指標で、景気の先行指標として使われます。
ジャクソンホール会議:米国カンザスシティ連銀が主催する年次経済シンポジウムで、世界の中央銀行関係者や経済専門家が集まり、金融政策について議論します。
NVIDIA: 半導体メーカーで、特にAI関連技術で高いシェアを誇ります。