トランプ政権の関税に対して、中国政府は強気な態度を見せていますが、中国の労働者と企業は中国本土の経済危機を恐れています

現在の中国本土の様子です。日本メディアは先日中国については都合が悪い事を報道しないと中国政府と約束したからか、これらはほぼ日本人に見せていません。

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中国企業、労働者が米国の関税引き上げの激化により窮地に追い込まれているとの報告が相次いでおり、通常の注文が入らず、一部の企業は極端な措置を取らざるを得ない状況の様です。

中国のSNSでは反米プロパガンダや愛国心を煽るコンテンツが氾濫していますが、大量解雇や長期「休暇」についての投稿や動画も出回っており、ただでさえ高い失業率が貿易戦争により更に悪化、輸出企業の倒産、関税による利益率の縮小、本土への外国投資の減少等、輸出主導経済に不安が広がっている徴候が伺えます。

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中国政府はこれまでポンジスキームのような不動産バブルを起こし、莫大な補助金を輸出企業に入れながら奴隷のように安い賃金で人民を働かせる事による、競争力の高い輸出に頼ってきましたが、これが破綻しようとしています。

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4月11日、トランプ大統領は、中国製品の殆どにかかる一律関税を145%に引き上げました。これは同日、中国当局が米国製品に対して125%の報復関税を課した事への対応です。

更に4月14日、北京は米国などでのハイテク・軍事製造に不可欠な7種類のレアアース製品の輸出を制限しました。

4月15日にホワイトハウスが発表したファクトシートによると、一部の中国製品には最大245%の米国関税が課される可能性があります。

トランプ政権は、中国製品への関税賦課の理由として、不公平な貿易慣行と違法薬物取引を挙げています。

特に第1次トランプ政権以降、ワシントンは中国当局による長年の保護主義的経済政策や、蔓延する産業スパイ行為を繰り返し非難してきました。

トランプは致死性の合成オピオイドであるフェンタニルの製造・輸出を中国が抑制していない事も批判しています。フェンタニルはしばしばメキシコを経由して米国に入ってきており、以前から「現代のアヘン戦争」として深刻な社会問題となっていました。

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米国麻薬取締局(DEA)は、2024年12月のプレスリリースで、2023年にドラッグの過剰摂取で10万7,000人以上が死亡し、そのうち約70%がフェンタニルなどオピオイド関連の死者だったと発表しました。

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関税による中国企業の苦境

台湾の実業家・李孟柱(リ・モンチュー)氏はメディアに関税の強化によって、中国の輸出主導型の工場の多くが事業を縮小したり、完全閉鎖に追い込まれるだろうとの見方を示しています。

浙江省義烏市で懐中電灯を製造する工場のオーナーは「以前は月に3~4件の大量注文があったが、最近はまったく注文が来なくなった。従業員も週6日働いていたのが今は週に3、4日しか出勤しない」と語りました。

李氏によれば、広東省南部で電子機器、衣料、照明を製造し、年末まで米国向け注文を抱えていた工場でも、突然注文がキャンセルされ、多くの在庫が工場に山積みされたままになっているとの事です。

香港メディア「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は4月10日、一部の中国輸出業者が、新関税に対処しきれずに貨物を航行途中で船会社に放棄する事例が出ていると報じました。

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中国本土の財新(Caixin)も、通常は船で賑わう上海港が、米国の145%関税導入翌日にはほぼ閑散としていたと報道しました。同紙は、米中間の輸送量が近い将来半減すると見込んでいます。

関税引き上げを受けて、中国のファッション大手Sheinは生産の一部を中国国外に移そうとしましたが、中国当局により阻止されました。

参考:中国、関税発動後、SHEINにサプライチェーン移転停止を要求

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SheinやTemuは、デミニミス(de minimis)ルールという少額貨物への免税措置が廃止される事により、価格の値上げが見込まれています。この措置は、800ドル以下の商品がアメリカ合衆国へ免税で輸入できるというものでした。

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この規制は、中国本土と香港からの輸入に対して5月2日から適用される予定で、現在の米中貿易のおよそ11%に影響を与える見込みです。(なんとSheinとTemuなどで米中貿易の11%も占めていました。香港経由も禁止なのが大きいですね)

北京は反撃を選択

4月8日、トランプ政権が世界中の多くの国々に対する関税引き上げを90日間一時停止する前日、中国商務部は「米国相手に最後まで戦う」と表明しました。

中国商務部は、中国が取る報復措置は「完全に正当な」国家利益保護の手段であり、「正常な国際貿易秩序を維持する」ものだと述べ、北京には米国の関税やその他の経済・貿易制限に対抗する「断固たる決意と幅広い手段がある」と発表。

4月10日に行われた定例記者会見では、中国外交部の報道官が、北京は「貿易戦争を恐れていない」と主張しました。

4月20日に習近平は「米国の北京孤立化作戦に従う国々に対して報復してやる」と発表。

この発表はトランプ大統領が関税交渉において、米国のパートナー諸国中国による産地偽装の迂回輸出を制限するよう要請した事に対抗して出されました。

中国政府は全ての関係者と協力し「国際的な公平性と正義を守る」と合わせて言っていますが、福島原発処理水デマで日本水産物禁輸をまだしていますので説得力ゼロ。

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中国本土に厳しい冬の時代が到来

一方、中国国内のビジネスマンや有名ブロガーの間では、中国共産党の強硬姿勢と宣伝活動がどこへ向かうのか疑問の声が上がっています。

中国本土のブログ「ロジスティクス&サプライチェーンマネジメント」は4月上旬に「東部江蘇省の家具工場のオーナーは、追加費用をすべて含めると、たった20パーセントの関税で工場の利益がすべて消えてしまう試算をした(カツカツなので20%の関税だけでも利益がもう上がらないと厳しい状態を伝えています)」と伝えました。

江蘇省蘇州市の電子機器工場の劉明(仮名)も同ブログに対し、2024年の同社の利益率は16パーセントだったが、「関税が適用された今は赤字経営だ」と語りました。

また、SNS「X」に投稿したアメリカの顧客と取引のある中国人輸出業者は、関税が34パーセントだった頃は依然として取引ができたものの、125パーセントの関税は「中国の労働者の職をほぼ一掃するに等しい」と述べました。

「私の知る限り、ほとんどすべてのアメリカの輸入業者は中国からの出荷を停止しています」と彼は語りました。

広東省東莞市の労働者は、4月9日に中国のSNSに投稿した動画で、米国への輸出では関税によって利益率がすべて消えてしまうため、工場やサプライヤーが中国国内市場で互いに競争せざるを得なくなると語っています。

広東省東莞市の労働者は「これは底辺への競争になるだろう」と指摘し、「一日中ネットで『どんな犠牲を払っても(貿易戦争を)戦う』と話している」中国のネットユーザーたちを非難しました。「やがて、その『犠牲』の中に自分自身が入っている事に気づくだろう」と。

江蘇省の省都・南京のブロガーは、今月初めにSNSで、中国の内需では経済を回す事は出来ませんので、大多数の労働者が職を維持するには不十分。「対外貿易に携わる多くの企業が、確実に生産を減らすことになるだろう」と語りました。
※これについては別で説明しますが、中国は人民を安い賃金で働かせ、コストの安さと補助金を武器に西側諸国の消費力に対して輸出を行い成長してきました。その為、人民の賃金を上げる事は中国本土生産の最強の武器である人件費の安さを失う事になりますので、人民は奴隷のような状態が望ましいのです。これで肥え太るのは中国共産党とその支配下にある中国企業のみです。

福建省の沿岸都市・厦門の金融関係者は、4月9日にSNSに「輸出業の停止は製造業や物流だけでなく、より広範な影響を及ぼします。仕事を辞めてはいけません、できる限り続けてください」と警告しています。

浙江、江蘇、広東など東南沿海の多くの外貿企業では、未曾有の「集団休暇ラッシュ」が到来しています。

抖音(Douyin/中国版TikTok)に投稿された複数の動画によれば、「五一」労働節(メーデー)の連休から浙江省では50%以上の外貿企業(外国への輸出を行っている企業)が操業を停止し、長期休暇に入るとのことです。

この現象は浙江省から江蘇省蘇州、広東省東莞といった輸出の要所にも拡大しており、今の中国外貿の置かれている状況の縮図となっています。

浙江省義烏(イーウー)は省内最大の外国貿易基地として知られていますが、米中関税戦争の影響を特に強く受けています。

義烏の工場元経営者である范さんは大紀元に対し、「今、アメリカ向けの注文は全く無くなりました。もともと経済状況がよくなかったのに、アメリカに対して報復を続けないといけない。義烏のあらゆる業界に波及しています。中国経済に対して悲観的で不安を感じている人がたくさんいます」と語っています。

浙江省嘉興市にある2万平方メートル規模の倉庫には、輸出用の売れ残り商品が山積みされています。

関係者は「アメリカなら数十ドルで売れる商品が、今は数元(数十円)でも誰も買わない」と嘆き、「関税戦争で外貿の在庫品がどれだけ悲惨か。ここではどんな服も(アメリカでは)100元(約2,000円)で売れるものが、今はトン単位で売りに出されていて、平均一着数毛(1元の10分の1、数銭で売られている)でも誰も引き取りに来ない。ここは嘉興市の2万平方メートルの外貿倉庫だが関税の影響で輸出品が全部在庫になっている。輸出用のサンダルも1足数毛、張小泉の包丁もトン単位で1本数毛……もうやっていけない」と話しています。

かつて浙江、江蘇、広東の外貿工場で管理職をしていた陳翔さんは最近、メディアに対し「浙江省は中国の外貿の大省で、2024年の輸出額は省のGDPの7割を占めている。自分は製造業で10年以上働いたので、中国の人口と製造業の間には正比例関係があることをよく知っている。だから今の経済状況は数十年に一度の未曾有のものだと言える」と語っています。

関税戦争勃発後、中国の大規模な輸出入展示会「広州交易会(広交会)」から欧米のバイヤーが消えました

広交会とは正式名を中国進出口商品交易会と言って中国の貿易のバロメーター(景気を測る指標)とされるビッグイベントです。

世界中からバイヤーが集まり、中国企業が海外企業に商品を輸出する契約を獲得する為の窓口です。

今回の広交会(第一期)は来場客(特に欧米バイヤー)が明らかに減少しました。

東南アジアや「一帯一路」参加国、南米、中東などのバイヤーが目立ちますが、売り上げの主力になる欧米が消えた事で苦境に陥っています。

主催者は「参加登録バイヤー数」などの数字で活況だとアピールしていましたが、実際の会場の雰囲気とは乖離しており、会場に足を運ばなくなったバイヤーが多数出ている事が分かります。

この為、主催側は出展企業に対し『期間中は絶対に早期撤収するな』と強く通達。

例年より早く撤収する企業が目立つ為(客が少ない為)に、慌てて

撤収した場合は次回の参加の際に諸々の資格を取り消し、公表すると警告しました。

米中関税戦争が激化を続ける中、香港からの輸出量は明らかに減少。

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香港ラジオの4月20日の報道によると、恒生銀行の上級顧問・梁兆基(リョウ・チョウキ)はラジオ番組の中で、米中両国間の貿易はほとんど完全に停止したと述べました。

近年、香港の対米輸出の割合は徐々に減少していますが、梁兆基氏は、香港の輸出量は明らかに減少しており、「今年は経済成長2%という予測目標を達成できない可能性が高い。今後の見通しはあまり明るくない」と述べました。

さらに彼は、トランプ米大統領の第1期から始まった関税戦争以降、多くの企業が新しい市場を模索し始めているものの、中小企業の能力は比較的低い為、一部は依然として従来の米国市場に依存しており、今回の関税措置は米国市場に依存する企業に大きな打撃を与えるとし、リスクは非常に高いと指摘。

関税戦争が中国の食品加工産業とケータリングサプライチェーンに打撃を与え始めました

米中貿易戦争が中国の消費者の食卓にまで影響を及ぼしている現状が明らかに。

米中間の関税引き上げ合戦により、大豆、牛肉、豚肉といった重要な輸入品の価格が大きく変動し、その影響が食品加工業、飼料業界、養豚業などを経由して、最終的には消費者が購入する食品の価格上昇として現れてきています。

特に大豆の輸入価格が重要です。

中国は大豆の輸入を大きく依存しており、その大半を米国から輸入している。大豆は食用油や飼料の原料として重要なため、関税による価格上昇は広範囲に影響を及ぼします。

大豆価格の上昇は飼料価格を上げ、養豚農家などのコスト増加につながり、豚肉などの価格も上昇し、消費者の負担増の連鎖を生みます。肉類や食用油といった生活必需品の価格上昇は、一般家庭の生活費を圧迫。

既に安売り合戦で生死の境を彷徨っている飲食店へも更なる打撃となります。

飲食店は、関税戦争が始まる前から食材価格の上昇に加え、賃料や人件費の高騰にも苦しんでおり、貿易戦争が始まった影響で、特に米国産の食材を使う飲食店や、飼料価格上昇の影響を受ける飲食店は経営が厳しくなっています。

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「一連の罠」

こうした状況を受けて、中国問題の専門家で時事評論家の王赫(ワン・ハー)氏は、メディアに対して、中国共産党はトランプが相互主義的な関税のラッシュを中国以外の国に対して一時停止した事を予想しておらず、意表を突かれたのではないかと言っています。

「中国共産党は米国の関税に影響を受けた世界中の国々と反米統一戦線を組もうとしましたが、他国に先駆けてトランプ政権との交渉を拒否した事で、逆に一人取り残される事になりました。結果的に、中国はトランプが仕掛けた一連の罠に足を踏み入れた」と王赫は言います