内モンゴルのウラン炭鉱から放射性物質漏洩の疑い

 

 

内モンゴル自治区の炭鉱で放射性物質が漏れ出し、これが各地で放射線障害や急性呼吸器障害が発生している原因の可能性があると報道されています。

 

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https://youtu.be/cXZGpUQsx4Q?si=hZEIK2e8JDKQ4nZo

内モンゴル自治区で最近、広範囲に渡り、急性気管支炎になる人が増え病院がパンパンになっていると話題に。

当局は「雷暴哮喘(雷雨ぜんそく)」という新しい用語を作り、先日の激しい雷雨により巻き上がった花粉によるアレルギー症状であると説明し、パニックを収めようとしています。

がしかし、住民達はこの謎の喘息について、最近再稼働されたウラン炭鉱山による放射能汚染物質拡散が原因ではないかと疑っています。

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今月初め、内モンゴルのフフホト、包頭、オルドスで突然「雷暴哮喘(雷雨ぜんそく)」が流行しました。

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中国本土の国営メディアは専門家の話を引用し、発生の原因はウラン炭鉱からの放射性物質漏えいではなく、砂漠に大量に植えられたヨモギで、ヨモギに含まれる花粉の濃度が非常に高かった為、この地域でアレルギーが蔓延したと報道しました。

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しかし、身の安全の為に匿名を条件にRFAの取材に応じた地元の情報筋は「雷暴哮喘」は確かにヨモギの花粉と関係はあるが、この地域、更には中国北部全体にとって本当に深刻な脅威となっているのはヨモギではなくウラン石炭の採掘と、採掘に関連するその他の放射性物質だと答えています。

(Radio Free Asia 略称 RFAとは:1994年にアメリカ合衆国議会が立法した「国際放送法」に基づき、1996年に米国議会の出資で設立された短波ラジオ放送局で、自由アジア放送と呼ばれています)

例えば、中央企業である国家能源集団のモンゴル南部、南ゴビ州にあるタバントルゴイ炭鉱(世界最大規模の石炭採掘場)は、半年前に作業を再開し、ここから出る放射性物質の鉱さい(目的の金属を鉱石から分離した後に残る副産物)が広く拡散しているとの事。

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 タバントルゴイ炭鉱は包頭市やオルドスから近く、炭鉱の推定年間生産能力は1000万トンに達する様です。

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採掘は15年間続いていましたが、一度操業を中断。2022年に中国のウラン産業が介入し、石炭採掘の前にウラン鉱石を採掘する為、100人近い調査団を現地に派遣。地元政府も投資家の国家能源集団も開発をこれ以上遅らせるつもりはない様です。

この問題に詳しい情報筋によると中国北部の多くの火力発電所では、タバントルゴイ炭鉱などから採掘された放射性物質を含むこの種のウラン炭を何十年も燃やしてきたといいます。

それ以前にもオルドスから125キロ東に位置する黑岱溝超大型露天煤礦(黑岱溝超大型露天掘り炭鉱)は、33年間操業してきました。

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内モンゴル自治区衛生委員会は、RFAに対して、ウラン炭による核物質汚染についてのコメントを拒否しています。

記者の取材に対し、内モンゴル自治区衛生委員会は、喘息問題は緩和されたがその原因は明確ではないと述べ、国民が大きな関心を寄せているウラン炭による核汚染問題については言及を避けました。

内モンゴル自治区緊急事態管理庁もこの件についての回答を拒否。 生態環境部原子力・放射線安全センターもコメントを避けています。

 

炭鉱近くの村では肺がんが大きな死因に

オルドスの元炭鉱労働者はRFA記者に、自身の父親は52歳の時に様々な病気が同時に発症して亡くなったと語し、 また、別の元上級調査記者は匿名を条件に、包頭鋼鉄(バオトウ・スチール)の鉱さいに含まれる極めて高濃度の放射性物質は、数万人の労働者と多くの近隣の村々にとって重大な問題であり、肺がんがこの地域の最大の死因となっていると記者に語っています。

モンゴルでは死亡者の 5 分の 1 が癌によって亡くなっていると報道されています。

ウランバートル市中心部ですら、WHOが定めた大気質ガイドラインの7倍を超える高さのPM2.5が検出されており、同市における肺がん死亡率は同市の総死亡率のほぼ10%に相当します。

オルドスの元炭鉱労働者によると、ある医師が10数年に渡りこの地域での肺がんの発生率を統計した論文を作成し、内蒙古包鋼病院で発表・掲載されていたが、 現在この論文はネットから削除され入手できないと話しています。

その論文では、内モンゴルの包頭鉱さいダムには大量の放射性金属が含まれた1億3500万トンの産業廃棄物(鉱さい・スラグ)が積み上げられ、ここに溜まり溢れ出た水が原因で周辺地域は深刻な影響を受けており、近隣の村人の死者のうち70.9%が癌によるものであったという論文を発表していました。しかし この記事は現在インターネット上から削除されています。

この問題について、2001年『南方網』は、成都理工大学核放射線技術工程学部の研究者が、モンゴル炭鉱の産業廃棄物を調査した結果、ここの鉱物粉末に含まれる強い放射性物質「プルトニウム232」の放射能濃度はそれぞれ2,891μg/gに達し、高いものでは11,769.648μg/gであったと報じていた様です。

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包鋼鉱さいダム⇧

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中国では放射線関連の情報は国家機密とされている。

内モンゴルの包頭鉱さいダムにおける汚染問題はどれほど深刻なのでしょうか?

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内モンゴル包頭鉱さいダムには2億トン以上の鉱さいが備蓄されていることから、2011年に中国環境新聞社が行った関連レアアース鉱山の調査を参考に、内モンゴル包頭鉱さいダムには少なくとも10万トンの高放射能プルトニウムが存在すると見られています。

しかし、実際の状況はこの数字よりも遥かに高い可能性があり、 2009年にこの鉱さいを調査した中国本土の記者は、鉱山内のプルトニウムの量は数十万トンに達するのではないかと考えています。

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凄まじい状況です。この放射性汚染物質が周辺で暮らす人々の生活用水に混じりあっている様です。

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この様な状況にも関わらず、中国政府はオルドスなどの内モンゴルの炭鉱やそれに関連する産業廃棄物は非常にクリーンで安全であると繰り返し発表しています。

今回の様な放射性物質流出による汚染についてもデマであると繰り返すだけです。

 

しかし、以前の中国は真面目にこの地域の汚染状況を報道していました。

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こちらは中国の大手プラットフォームSINAによる2006年の記事ですが、内モンゴルにおける炭鉱廃棄物の汚染について真面目に実態を報道しています。

・包頭鉱さいダムの汚染調査:放射性の毒水が黄河に浸透している

・内蒙古包頭鉱さいダムは世界最大の レアアース湖 であり、鉱さいの山1.35億トンの廃棄物には放射性物質が大量に含まれ、台風などの大雨で鉱さいダムから水が溢れた為に周辺地域に深刻な影響が及んでいるのではないか。

隣接する村の癌死亡率が70.9%とあるが異常ではないか。

・ 降雨があると水質汚染が深刻になる。

・内モンゴルの鉱山から採掘されたものは選鉱場に運ばれて粉砕、その後10%のレアアースを分離し、残りの残さいはすべて包頭鉱さいダムに廃棄されます。その ダムは主に包鋼の製鉄スラグと未使用のレアアースで、大量の放射性物質が含まれています。環境保護局の匿名希望の職員は筆者に「モニタリングの結果、水源周辺ではすべての放射性物質が基準値を超えていることを確認した。」と話した。

 

ある時を境に、内モンゴルの環境汚染は国家機密に

中国赤十字元幹部である任瑞紅氏は、「中国では核放射線に関する情報は国家機密とみなされている。」と指摘しました。

包頭市は公式発表の中で、村民の移転や植林などの修復作業を実施したと主張しましたが、高レベル放射線のリスクについては何も説明しませんでした。RFAの 記者は同社に何度も電話したが、応答はなかった様です。

関係者は何もなかったかのように装っています。

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調査の結果、中国政府はこのやり方が齎す悲惨な結末を熟知しているにも関わらず、何十年もの間、情報を封印してきた事が判明したとRFAは指摘しています。

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鉄鋼業界関係者によれば「関連する放射性鉱山の開発、および利用における環境放射線規制」の草案は4年近く前から出ているが、未だに作成が困難だといいます。その理由はこの規制を導入するという事は、内モンゴルの石炭、鉄鉱石、レアアース鉱山、ウラン鉱山の閉鎖を意味するからです。

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いくらなんでも現地の住人が可哀想では。。。

内モンゴル当局、そして中国政府はこうした状況を隠蔽(上記に見られるようにもはや隠蔽できていませんが)し、環境を破壊しつくしながらウラン炭鉱含め、採掘を行っています。

中国反体制派は軍事警察が管理しているウラン炭鉱から最近放射能漏れしたのではないかと言っていますが、私は内モンゴルで放射性物質が拡散したとするのであれば、内モンゴルの至る所に存在するこうした放射性物質まみれの包頭鉱さいダム等が気候変動によりまれにみる台風の大雨で溢れ、市街地に流入した可能性の方が高いのではないかと考えています。

内モンゴルでは7月から度々稀にみる豪雨に見舞われています。雷雨喘息患者で病院が混んだフフホト、包頭、オルドスも豪雨に見舞われています。

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放射物質などの有害物質による汚染ではなく、ヨモギの花粉症だと中国政府は宣伝していますが果たしてそうなのでしょうか?

オルドスや包頭の環境汚染について、以前業界団体が以下の様な声明を出しています。

 

中国の業界団体が包頭の環境汚染のあまりの惨状に苦言

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 レアアース採掘による環境への被害は効果的に管理、補償されていない!

「レアアース産業汚染物質排出基準」によれば、中国の既存のレアアース採掘、選別、製錬企業の90%以上が要件を満たさず無視している。
対応するとコストが70%増加するから儲けの為に誰も気にしない。

同時に、レアアース産業における規制はまともに存在せず、環境保護基準は公表されているものの、罰則は定められていない。焦点を当てられる場所がありません。

包頭は草原文明と黄河文明が融合した都市で、豊富な鉱物資源により中国北西部の重要な重工業都市となっています。
「世界のレアアースは中国にあり、中国のレアアースは包頭にあります。 」と言われるほどだ。

正確に言うと、包頭のレアアースは白云鄂博(バヤン鉱区)にあります。
バヤン鉱区のレアアース鉱物の工業埋蔵量は3,600万トンで、世界全体の36 %、国全体の90 %以上を占め、 「レアアースの故郷」として知られています。

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しかし、地元の産業経済が発展する一方で、包頭周辺の環境は深刻な汚染を受けています。

採掘した鉱石にはレアアース鉱物が豊富に含まれており、鉱石を破砕して粉末にして鉄を分離し、レアアースの10%を分離し、残りの残滓をポンプで鉱さいダムに破棄します。
残った残滓には今も多量のレアアースが含まれており、40年以上の堆積を経て、現在の容量1億7,000万トンの「レアアース湖」が形成されました。

包頭市にひとたび大地震や大規模降雨が起こり鉱さいダムが決壊すると、甚大な被害が発生します。

周囲の5つの村に住む包頭鋼鉄従業員数万人の命と安全が深刻な脅威にさらされることになる。尾鉱池の汚水が黄河に流入すると、黄河に深刻な汚染を引き起こすことになります。

 バヤン鉱区付近を衛星写真で見ると真っ黒な池が至る所にあるのが見えます。

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内モンゴルのウラン炭鉱から放射性物質漏洩の疑いがあると、中国人民や近隣住人がネットで騒ぐのも無理はありません。

理由は過去に鉱さいダム決壊事故が繰り返しこのエリアや他エリアで発生し、放射性物質や人体に有害な物質が流失し、凄まじい実害が出ているからです。当然信用などありません。

いくつか事例を見てみましょう。

2022年3月27日、内モンゴル・呼和浩特(フフホト)やオルギス、包頭に隣接する山西省焦口市の鉱さいダムでダム決壊事故が発生し、汚染物質がぶちまけられています。

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2022年3月27日午後17時頃、山西省吕梁市交口县温泉郷にある山西道尔アルミニウム有限公司の鉱さいダムでダム決壊事故が発生しました。

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生産能力が年間200万トンの大型ボーキサイト鉱物加工企業の鉱さいダムが決壊し、有害物質が流出しました。

廃液を含む数万トンの廃棄物が硬化や浸透防止処理を行わずに野積みされ、表土や地下を汚染していると指摘されていた現場でした。洪水対策などもしていなかった。

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ボーキサイトは、ボーキサイトの粉末を吸い込む事で起こる塵肺の一種「ボーキサイト肺」は進行速度が極めて速く、4年ほどで死に至る為、ボーキサイトを長時間扱う際は防塵マスクの着用が推奨されているほどの有害物質です。

 

2008年、包頭市のすぐ北にある内モンゴル自治区仇陽県で二か所尾滓池(鉱さいダム)が決壊。

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ここでは競合企業が争い、お互いにライバル企業の鉱さいダムの下流に水路を掘って、下流にある村を汚染させて潰そうとしました。

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内モンゴル自治区アルシャー左旗で今年二月、露天掘り炭鉱が崩壊し、作業員が飲み込まれる様子

掘削機の運転手やダンプトラック、露天掘りの底で働いていたスタッフは蟻のように一瞬にして飲み込まれ、少なくとも5人が死亡し6人が負傷しました。数日たっても48人が行方不明に。

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黒竜江省で2021年5月20日尾滓池(鉱さいダム)が決壊、河川に汚染物質モリブデンが流れ出し汚染され過去二十年で最悪の鉱さいダム汚染事故になりました。

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 黒竜江省でも鉱さいダムが決壊し、河川に汚染物質が流れ出し汚染されました。この事件は中国で過去20年間において最大規模の尾鉱漏洩を伴う環境緊急事態だと騒がれています。

黒竜江省宜春鹿鳴鉱業有限公司の尾滓池の漏洩により、農地と河川が広範囲に渡り汚染され給水停止が発生。2021年5月20日深夜、生態環境省はこの事故は、基準を下回った技術品質により尾滓池の排水ポンプが損傷し、結果として重大な環境上の緊急事態となったと発表しています。

この汚染は20日間続き、最大1000万人の生活用水供給に影響しました。河川に流出したのはモリブデン。
モリブデンを過剰摂取すると、人体の代謝に障害が生じ、低酸素症や死に繋がる可能性があります。
また、腎臓結石や尿路結石を誘発しやすくなり、鉄欠乏性貧血のリスクが高まると言われています。

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モリブデンは食道がんの主犯でもあり、痛風、関節痛や変形、腎臓障害、成長遅延、体重減少、脱毛、動脈硬化、皮膚疾患などを引き起こす可能性があります。

 

包頭に隣接する内モンゴルの都市、内モンゴル自治区アルシャー左旗では約3万エーカーの草原が不法に採掘され占拠されていると去年中国政府が発表。

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 内モンゴルでは不法採掘もはびこっている様です。中国政府も滅茶苦茶ですが、その他も滅茶苦茶。

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包頭市でのレアアース汚染でガンが急増、包頭市は居住に適さないという2010年の記事。

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中国の包頭市はレアアースが豊富ですが、包頭鋼鉄からの汚水排出とレアアースの鉱さいダム汚染により、近くのいくつかの村でガン患者が急増しています。

政府の補償金が少な過ぎる為、移転後の生活は困難であり、安全が確保されていないので、汚染が最も深刻な5つの村の5,000人の村民が移転を拒否しました。
中国は世界のレアアースの殆どを供給しており、その生産量の80%以上が包頭市で生産されており、その結果、環境汚染の代償を支払う事となった。包頭市のがん患者数は日に日に増加しています。

包頭市の住民「炭鉱を所有するレアアース会社がいくつかあります。汚染は深刻です。土地は危険に晒されています。私達の果物はたとえ安くても売れません。これらの会社は粉塵で環境を汚染します。ここではどんな作物も育たない。私達には草がない。水をやれば枯れてしまい、地下水は深刻に汚染されています。」

他の包頭住民2人は包頭鋼鉄の汚染水排出に加え、近くのレアアース鉱さいダムが地元の水源を汚染したと語っています。

地方政府は当時第1、第3、第8村など5つの村の村民約5000人を移転させる計画を立てましたが、村民が移転補償金が少な過ぎる事と移転後の生活が不安な為交渉は決裂しています。

「病気の人が沢山います。彼らはもう生きることもできません。主な理由は汚染が酷くて畑で作物が育たない事です。若者達は出ていきました 」

 

もうダメだコリャって状態ですよね。正直ここまで酷いとは思いませんでした。炭鉱による汚染事故しか起きていません。

内モンゴルの至る所に存在するこうした放射性物質まみれの鉱さいダム等が気候変動によりまれにみる台風の大雨で溢れ、市街地に流入した可能性の方が高いと思うのはこうした状態があるからです。

少なくともヨモギの花粉が原因という中国政府の説明は苦しいでしょう。

ましてや、この様な所業を行いながら適切に処理・検査・モニタリングされ科学的にも、数字上も全く問題ない「福島原発処理水」を非難する権利など、中国政府にはありません。

中国こそ、内モンゴルできちんとコストをかけて真面目に環境対策を行うべきでしょう。