
中国本土では大学生の7割が生活費不足で、親から渡される1500元(30000円)では月末までとても暮らせないと話題になっています。
最近、中国のSNSで「大学生の毎月の生活費はいくらあれば足りるのか?」という話題が熱く議論されており、一部の学生は家計簿を公開し、「1500元や2,000元では月末まで全然足りない」と訴えています。保護者が「1,500元で十分」と主張したり、他の学生が「お金がないなら子供を産まなければいい」と反論する場面もありました。
5月30日、テンセントニュース傘下の「穀雨データ」が発表した調査報告によれば、7割以上の大学生の1カ月の平均生活費は1,000〜2,000元(2万~4万円)の範囲であり、一線・新一線都市でも2,500元を超える学生は2割未満だといいます。
報告書では、物価や消費コストの上昇により、1,500元の生活費ではもはや基本的な生活すらままならないと指摘されています。

中国本土での大学生一人の生活費は月にいくら必要?
この問いに、大学生や親は一見即答できそうですが、実際は年代・地域・階層の違いで答えは大きく異なります。
様々な時期の調査データを集めると、1994年から2020年の間で、大学生の月平均生活費は200元強から2000元近くへと、7~8倍に増加しています。一方、同期間の中国国家統計局発表の全国消費者物価指数(CPI)の上昇は1倍程度にとどまり、大学生の生活費増加は物価上昇を大きく上回っています。

しかし、これほど生活費が上がっても、どの時代の大学生も「生活が苦しい」と感じてきたようです。iiMedia Research(艾媒諮詢)の2024年調査によれば、7割超の大学生が月の収入・支出が1000~2000元に集中しており、収入が支出に及ばないケースも珍しくありません。

大学の所在都市によっても必要生活費は大きく異なります。
家計管理アプリ「挖財」の統計によると、大学が多く集まる北京の大学生の月平均生活費は全国トップで2400元(4万8000円)。
上海・杭州・深圳・広州なども月2000元(4万円)前後かそれ以上。一方、鄭州・西安などは比較的低いものの、1500元以上が必要です。

このデータは2019年時点で、2019~2024年の間に全国消費者物価指数は5.9%上昇しています。この事から、現在の大学生の消費水準は更に高くなっている可能性が高いです。
大学生が生活費に不満を感じるもう一つの理由は、同世代間の比較です。大学は様々な家計や価値観を持つ人が集まる為、寮やクラスの友人を通して社会の格差をより実感し、またSNSで見られる「充実した大学生活」の投稿によって、理想の生活イメージもどんどん高まります。
SNSでは「普通の家庭の女子大学生が500元で1ヶ月チャレンジ」といった投稿もあれば、「月の生活費6万元の女子大生の日常」などもあります。

節約を重ねても何とか生活できる人もいれば、大学生にも関わらず生活費が新卒社会人の月収を超える場合もあります。同じ大学生とはいえ、全く異なる現実の中で過ごしています。
多くの年配世代にとって、「大学生の生活費=食費」のイメージが強いですが、確かに大学の食堂レベルだけを考えれば、殆どの大学生は1000~2000元で十分食べていけます。
しかし今では、生活費の出費項目はこれにとどまりません。飲食以外の出費こそ、大学生が「足りない」と感じる主な要因となっています。
複数の研究データによると、1994年から2007年の十数年間で、大学生の飲食支出比率は89.4%から83.8%にしか下がりませんでした。
しかし2007年以降10年間で、支出構造は大きく変化し、飲食支出の割合は半分以下にまで低下しました。
艾媒咨詢の最新データ(2024年)では、大学生の飲食・日用品の月平均支出は500~800元で、全体の生活費の50%程度です。

小紅書(Red)の「大学生活の家計簿」関連投稿を見ると、現代の大学生は水道・電気・ネット代・交通費、更にはフルーツ・ミルクティー・コーヒー・スナック、服・靴・バッグ・化粧品・ヘアサロン・ネイル・洗顔など「質の良い生活」を保つ支出、更にはデート・会食・プレゼントなどの「人間関係費」、ゲームや動画サービス会費などの「趣味投資」、知識課金・学習資料購入・塾などの学習費まで多岐に渡る出費があります。
その他にも、旅行・芸能人の追っかけ・電子機器の買い替えなど、場合によっては高額な出費もあります。もし異地でインターンシップをすれば家賃も発生します。こうして計算すると、月に1~2千元の生活費ではとても足りません。
保護者の苦境:収入減で従来水準を維持できず
山西省太原市の市民・周婷さんは、今年は大学2年生の子供に1,800元の生活費を毎月渡していますが、昨年の2,000元から減らしたといいます。
「うちの子だけじゃなくて、クラスの殆どの子も去年より減っています。親だって辛いです。子供に良い生活をさせたいと思うけれど、収入が減っているので仕方ありません」と語ります。

更に知人夫婦が配達の仕事で生計を立てていたが、夫が怪我をしてからは妻一人の収入で3人家族を支えているという例も挙げ、「うちはまだ安定収入がありますが、失業者も多くて、宅配や屋台で生計を立てている親がどんどん増えています」と実情を説明。
近年では、新型コロナから米中経済デカップリング、地方財政難まで、連続する打撃で多くの企業が閉鎖し、労働者は失業し、一般市民の収入が激減しています。天津大港油田の高さんは「去年は子供に毎月2,300元渡していたけれど、今年は1,900元まで減らした。今はボーナスや手当もなくなり、基本給だけでは家族全員が生活できません。2,000元の仕事を探すのも難しいですよ、なんて時代でしょう」と述べます。
高さんは「ニュースでは経済が持ち直しているって言っていますが、実際は庶民の生活は益々苦しくなっています。最近は中国大陸で指導者が交代するという海外の噂も流れていますし、国内でもリーダー交代への関心が高まっていて、現状に皆が失望している証拠です」と嘆いています。
湖南省長沙の五一広場で飲食店を営む韓さんも「デフレと言われてはいるけど、日常消費は下がっていません。野菜は多少安いかもしれませんが、食事や日用品、交通費がむしろ上がっています。都市で一食すれば最低十数元、三食で50元、食費だけで月1,500元、それ以外にも出費は多いです」と記者に語っています。
韓さんは続けて「中国の重点大学はほとんど一・二級都市にあって、三・四級都市の大学でも生活費で『お腹を満たす』のが精いっぱいで、『良い食事』は難しいです」と言います。
天津大学の元教師・李彤(仮名)さんは「大学生の生活費問題は決して小さな事ではなく、中国の経済構造の歪みや社会保障の不十分さの縮図です。若者が最も学業に専念すべき時期に、生活の事で悩み続ければ、社会の長期的発展にも悪影響が出ます」と語り、「これは家庭単位で解決できる問題ではなく、中国の政治体制が作り出した構造的課題です」と強調します。
更に彼女は「当局が今の若者の現実的苦境を無視し続け、美辞麗句で飾り立てるだけなら、中国は将来、そのツケを払う事になるでしょう」と警告。
おまけに卒業しても就職先がありません。
中国の表面だけのキラキラの街の裏側です。
からの日本へ移民リベンジ(日本人の税金に寄生しインフラにただ乗り等)ですかね・・・