香港紙サウスチャイナモーニングポストは『日米関税交渉の失敗が石破退任に繋がる』と見ています

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サウスチャイナモーニングポストは日本の関税交渉について、「話ばかりで(EUの様な)文書なし。日米関税合意に障害が発生」と報道。

書面による明確な合意内容の明記の欠如により、日本の重要な自動車産業が不安定な状況に置かれており、政治的苦境に立たされている日本の首相の将来は、この合意に深く関連していると。

日本の首相である石破茂氏は、米国による15%の関税措置を「ウィンウィンの合意」と評価していますが、この措置が日本経済、特に重要な自動車産業に悪影響を与えた場合、国民が反発する可能性が高いとみられています。

最大の国内批判の一つは、合意に関する共同文書がない事だと有識者は指摘。(米国内の大統領令によって管理されるから共同文書は要らないんだという意見もあります)
石破首相は先月合意した貿易協定が両国に利益を齎すと強調する一方、課題は今後の実施にあることを認めており、月曜日の国会で「合意よりも実行の方が難しいと言われます。皆様の引き続きのご支援を謹んでお願い申し上げます」と述べました。

この合意は8月1日の締切直前まで続いた厳しい交渉の末に妥結し、日本にとっては潜在的な貿易危機を回避したものと評価されています。

当初、米国は日本からの全輸入品に25%の関税を課す方針を示していましたが、最終的には大幅な譲歩により15%に抑え、日本の経済的打撃を回避しました。

しかし、自動車および自動車部品への関税が現行の25%から合意した15%に引き下げられる時期については、未だ明確になっていません。

石破首相は「先ずは国家利益に直結する自動車関税の適切な引き下げに全力を尽くすべきです」と述べ、関税引き下げの実現に向けてトランプ米大統領との追加協議を模索する意向を示しました。

同じ国会審議では、日本の主席交渉官である赤沢氏が共同文書の欠如に関する批判に対応しました。「文書がある事の有用性は十分に理解しております」と述べ、韓国やEUとの類似の合意にも正式な文書がなかった事例に言及しました。→その後EUと米国の合意文書が発表されています。

国際基督教大学のスティーブン・ナギー教授は、この貿易協定が日本経済や重要な自動車分野に悪影響を及ぼした場合、「反発」が生じる可能性があると分析。

一方、石破首相の政権運営については、関税そのものよりも、選挙での不振や経済運営の失敗、日米・日中関係の不手際が政権の将来に大きく影響すると指摘します。「石破首相は関税の除外を勝ち取る事はできないでしょう。これが交渉力や指導力の欠如の証拠と見なされ、与党自民党内の実力者達が、より保守的な指導者への交代を求める根拠となるでしょう」と語っています。

戦略コンサルティング会社『The Asia Group』の上席アソシエイトである西村倫太郎氏は、この貿易協定に共同文書がない事が大きな懸念であると述べています。西村氏は日米両政府による発表内容に食い違いが見られると指摘し、実施スケジュール、投資、兵器購入、農産品などに関して特に問題視しています。

特に投資部分において米国側は「5500億ドルの投資」と主張する一方、日本側は「政府系金融機関による投資・融資・融資保証等を含め最大で5500億ドル」と説明しています。「純粋な投資は全体の1~2%にすぎず、残りは融資や保証が中心になるとみられます」と西村氏は述べています。(ただしここもホワイトハウスと赤沢氏の言い分はまるっきり違い、トランプは5500億ドルについて、当初からこれは米国政府が自由に使える日本からのギフトだと話しています。)

もう一つの課題は利益配分です。米国側は「9対1で米国有利」と主張していますが、日本側はこれは投資部分のみの話であり、融資や保証部分は含まれないと説明しているとの事。これは米国側からは一切話が出てきていません。

先月の参議院選挙で与党が大きく議席を減らす厳しい結果となったにも関わらず、石破首相は貿易協定の完全履行を理由に首相続投を表明しています。。。呆

民放JNNの週末世論調査では、石破内閣の支持率が前回比4ポイント増の36.8%となり、「辞任すべきではない」とする回答も47%に上りました。毎日新聞や朝日新聞の7月27日発表の支持率は29%でした。

西村氏は、石破首相の支持率が上昇したのは貿易協定というよりも、選挙で勢いを増した極右ポピュリスト政党「参政党」との右派連立に対する有権者の反発が影響していると指摘しています。石破首相は少なくとも「1カ月程度は政権にとどまろうとする」と見られ、貿易協定の実施が不透明である事が「辞任を先送りする理由になっている」と分析しています。