トランプ大統領は5日、日本が米国との関税交渉で合意した最大5500億ドル(約80兆円)の対米投資の枠組みについて「我々が好きなように投資できる資金」と言っています。

米CNBCのインタビューでトランプは「野球選手が契約時に受け取る契約金のようなもの」とも説明。

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この件について米国での様子を見てみましょう。

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今週木曜日(日本時間8月8日)に施行予定の新たな関税が複数あり、トランプは今週火曜日(日本時間8月5日)、これまで自身が導入してきた政策による「予想外の利益」についてメディアとのインタビューで強調しました。

アメリカ国民に関税の還付金を送るという、自身が検討中のプランについて質問された際に「私達は何兆ドルものお金を手に入れている」「日本からは5500億ドルを得ており、これはまるで野球選手が貰う契約ボーナスのようなものです。これは私達の自由に投資できるお金です」と発言しています。

しかし、日本政府関係者は、日米間の取引について、投資・融資・ローン保証の組み合わせであると説明しており、利益も投資額とリスク割合に応じて配分されるとしており、予想通り食い違いが顕著になって来ています。

またトランプ氏は、欧州連合(EU)との合意についても言及し、EUが米国のエネルギーを7500億ドル分購入し、また27カ国が合計6500億ドルをアメリカへ投資すると発表しました。この数字は、ホワイトハウスが以前発表した6000億ドルから「諸々の事情」で切り上げたものであるとしています。

もしヨーロッパが投資に関する発表に従わなかった場合どうするか質問されると、トランプ氏は最初、「その場合は35%の関税を支払う事になる」と述べましたが、直ぐに「いや、彼らは関税を下げたので6000億ドルを支払い、その結果、関税を30%から15%に引き下げた」と付け加えました。

トランプ氏は、他国の指導者らから、何故EUが比較的低い関税率を適用されたのか尋ねられた事があるとも話しました。

「彼らが6000億ドルくれたからだと言いましたよ。それはギフトであり、ローンのようなものではありません」とメディアに語りました。

これに対してEU当局者は、その部分について「民間企業が2029年までに少なくとも6000億ドルを米国内の様々な分野に投資する意向を示している」と説明しています。

EUはまた、米国製品の輸入に対する報復関税の発動を6か月延期すると、今週月曜日に発表しました。

トランプ大統領による関税政策によって得られる収入を中・低所得層のアメリカ人にリベート小切手を送る案

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トランプ大統領が新たな関税政策によって得られる収入を基に、中・低所得層のアメリカ人にリベート小切手を送る案を検討していると示唆しました。先週発表された複数国への新関税率が、今週木曜日から施行される事が政府高官から週末に明言されました。

  • トランプ大統領は、自身の大規模な関税政策によって齎される収入を財源としたリベート小切手を、中・低所得のアメリカ人に支給する可能性を示唆しています。
  • 新関税率は4月初旬に最初に発表されましたが、一部の国との貿易交渉の為一時延期されていました。先週、数十か国を対象にした新たな関税率が正式に公表され、今週木曜日に施行されます。
  • ホワイトハウス国家経済会議のケビン・ハセット所長は、週末の時点で「これが最終決定」と話しており、トランプ大統領の通商代表ジャミーソン・グリアー氏は、海外の通商大臣から多くの連絡を受けているものの、新関税率は「ほぼ確定」と述べています。
  • 以前、トランプ政権による大規模なコスト削減や連邦職員の削減によって節約された財源から、アメリカ国民に配当小切手を送るという案(U.S. DOGE Service、かつてイーロン・マスク氏が率いたキャンペーン)も語られていましたが、現時点では実現に至っていません。

トランプ大統領は日曜日、ホワイトハウスへの帰路で記者団に対し、次のように語りました。「大量のお金が入ってきており、その額はこれまでのアメリカ史上最大級です。国民に対する分配や配当があるかもしれません。」

更にリベート小切手は主に中・低所得層に配布する意向である事を示唆し、先月末のスコットランド出発前にも「ちょっとしたリベートを検討している」と発言していました。

一方で、これらの新たな収入の主目的については、国家の債務削減を重視したい旨を表明しています。

トランプ政権は業種別・国別の幅広い関税政策が毎年数百億ドル規模の新たな歳入を齎すと強調し続けており、インフレへの懸念もある中、これは長くアピール材料とされています。

こうした中、トランプ大統領がリベート案を支持する旨を発言した後、共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は、米国の成人一人につき最低600ドル、扶養児童ごと更に600ドルの小切手を送る法案を提出しました。

「トランプ大統領の提案通り、私の法案によってトランプの関税で国に戻った富を米国の労働者が享受できる」とホーリー議員は声明を出しています。

一方で、コスト削減や連邦職員削減により得られた財源による配当小切手(U.S. DOGE Service、かつてイーロン・マスク氏が率いたキャンペーン)については、現時点で進展が見られない状況です。2月、トランプ大統領はDOGEによる節約分の20%を国民に還元するのは「素晴らしいアイデア」だと述べていましたが、その後目立った動きはありません。

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赤沢氏が以前説明していた内容と米国内の雰囲気は明らかに違います。

現在、事情を確認にまた9回目の訪米をしているとの事ですが、徐々に状態が明らかになってくるでしょう。