ホワイトハウスが、保守派や仮想通貨関連企業への差別を行った銀行への制裁命令を準備中

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トランプ政権は、保守派や仮想通貨関連企業へのサービス提供を拒否する大手銀行に対し、制裁を科す新たな大統領令を近く発表する見通しです。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が入手したこの大統領令の草案によると、銀行規制当局に対して、銀行が「平等信用機会法」や独占禁止法、消費者金融保護法に違反していないか調査するよう指示しており、違反が認められた場合は罰金や同意判決、その他の是正措置が課される可能性があります。

事情を知る複数の関係者によれば、この大統領令は早ければ今週中にも署名される予定ですが、予定が遅れる事や内容が変更される可能性もあるとの事です。

この草案は特定の銀行名を挙げてはいませんが、例えば、バンク・オブ・アメリカが宗教的信条を理由にウガンダで活動するキリスト教団体の口座を閉鎖した疑いを指していると思われます。同行は「国外で活動する小規模企業にはサービスを提供していない為」と説明しています。

また、同草案では一部銀行が2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件の捜査に協力した事も批判しています。

銀行業界はこの慣行を「デリスキング」(リスク回避行為)と呼び、口座保有者に法的・財務的・評判上のリスクがあると銀行が判断すれば、口座を閉鎖する事ができる裁量を持っています。

また、連邦準備制度理事会(FRB)は2024年6月、「評判リスク」を理由に銀行を調査する事を停止すると発表しており、通貨監督庁(OCC)や連邦預金保険公社(FDIC)も同様の措置を取っています。

一方、仮想通貨業界は長らくバイデン政権から厳しい対応を受けており、業界幹部は「金融規制当局を使って銀行に圧力をかけ、暗号資産関連企業へのサービス提供を抑制する」動きがあったと訴えてきました。

報道によると、草案は仮想通貨関連企業など一部顧客の排除に繋がるような銀行規制当局の方針を撤廃するよう指示しています。また、中小企業向けローンを保証する小企業庁(SBA)に対しても、銀行の貸出慣行の見直しを命じています。

規制当局には、違反の可能性がある事案について司法省(DOJ)の司法長官に報告するよう求めています。

要点

  • 保守派や仮想通貨関連の企業などに対して、銀行が口座を閉鎖したりサービスを拒否する事例(政治的・宗教的理由やリスク回避などを口実に)があり、「差別だ」との批判が高まっていました。
  • 特に保守派や一部の宗教団体、そして規制の厳しい仮想通貨関連企業の事例が強調されています。

大統領令の内容(草案)

  • 銀行が平等信用機会法(Equal Credit Opportunity Act)や反トラスト法(独占禁止法)、消費者金融保護法などに違反していないか、銀行規制当局に調査を命じるもの。
  • 違反が見つかれば、金銭的な罰則や合意勧告命令、その他の懲戒措置が科されます。
  • 名前は出していませんが、以前バンク・オブ・アメリカが宗教団体の口座を閉じた事例等を念頭に置いています。
  • 特に「評判リスク」を理由にした口座閉鎖(de-risking)について、規制当局にその対応策の見直し(方針撤回)を求めています。
  • バイデン政権時代、特にFTX事件をきっかけに、銀行が暗号資産関連企業の取引(銀行口座など)を拒否するような動きが強まり、「事実上の業界排除(Operation Choke Point 2.0)」と業界側が批判してきました。
  • 業界側は、政府機関(FDIC等)が銀行に対して暗号企業の取引をやめるよう圧力をかけていた証拠も出しています。

今後の展開

  • この大統領令は、違法な「銀行からの排除」があった場合に司法省への通報なども指示。
  • 中小企業庁(SBA)にも、融資保証を受ける銀行の審査慣行見直しを求める。
  • 署名は「今週にも」とされていますが、最終決定ではなく変更や遅延の可能性もあり。