ブローカー、ファンド、保険会社は、ファンドの流動性を引き換えに人民銀行に資産を担保に差し入れ、株式を購入するスワップ制度を設ける様です。
人民銀行はまた、上場企業と大株主が自社株を買い戻し、保有株を増やす為の別の専門借り換えファシリティ(借入金を別の金融機関や条件で借りたお金で返済する仕組み)を設立します。
当局による株式市場への流動性支援は、スワップ5000億元と再貸し出し3000億元という形で行われ、更に5000億元を段階的に追加する可能性がある事も人民銀行の潘総裁は明らかにしました。
北京は株式市場への直接介入を承認し、株価を下支えしようとしています。
これを受けて2600元の危険水域迄突入していた上海総合は持ち直しています。
ゼロヘッジがこの件について報道していたので少しご紹介。
ブルームバーグは中国政府が中国株買い支えの為に少なくとも5000億元を計画していると報じています。中国政府粘りますね💧
習近平政権は過去2年間に渡り、断片的な利下げを実施してきましたが、経済減速を反転させる事に完全に失敗しており、経済成長率は5四半期で最悪のペースに落ち込んだ後さらに弱まり、住宅市場は前例のないペースで崩壊しています。
中国政府は今年5月にばかばかしい不動産救済策を発表しましたが、これは長年続いた不動産不況を好転させられなかっただけでなく、中国本土の世帯の資産を推定18兆ドル(2500兆円位)も失わせ、事態を更に悪化させました。
不動産救済策への参加を要請された200都市の内、過剰住宅の吸収を支援しろという北京の呼びかけに耳を傾けているのは僅か29都市でした。新築住宅価格は先月、2014年以来最大の下落を記録。この不動産バブル崩壊により、資産の殆どを不動産で持つ中国人民の投資が減退、海外からの投資も減退し、株式相場も崩壊しています。
いよいよ経済が危なくなって来た為に、中国政府は今回思い切った手を打ってきました。
この最新の景気刺激策がどのくらい続くかはまだ分かりませんが、今のところ反応はまずまずで、人民銀行の今回の発表後、中国株式市場は上昇し、中国の不動産株も急騰しました。
中国株式市場を支援する為の今回の措置が成功すれば、外国からの資金流入が戻り、人民元を支える可能性があると期待が持たれている様です。
しかし、一部の有識者は疑問視しています。
グロー・インベストメント・グループの洪灝チーフエコノミストは、「2015年の中国株バブル崩壊時にこの手法が用いられた」と説明し、「中銀資金の為、潜在的な資金供給は無限とも考えられるが、現段階でこの制度を利用しようと多くのファンドが積極的に借り入れを行うかどうかは疑問だ」とブルームバーグに語っています。
北京を本拠とするブティック型投資銀行、香頌資本の沈萌ディレクターは「新たな金融商品を通じて株式市場の流動性を拡大する事は、短期的には取引の活発化に繋がるだろうが、株式市場での上場企業の根本的なパフォーマンスは変わらない」と指摘。
オーバーシー・チャイニーズ銀行は「これは政策当局が信頼回復に努めている事を明確に示しているが、これが持続的な上昇に繋がるのか、それとも1~2日だけの上昇に終わるのかはまだ分からない。株式市場はこの動きを歓迎する筈だが、細部にはまだ疑問が残る」と疑問を呈しました。
ゼロヘッジはもし、今回の景気刺激策がこれまでの景気刺激策と同じく失敗に終わった場合、北京は経済を債務で溢れさせるしかなくなるだろうと見ています。
香港ハンセン指数⇩
資金流入を見込み、今は新規の資金が不動産株などにまで流入していますが、これで現実の経営状況が変わるわけでもなく、一時のマネーゲームとして終わる可能性が高いように見えます。今回の中国経済悪化の根本的な原因である不動産バブル崩壊に改善の兆しが一切見えないからです。
それは香港におけるHSBCの商業用不動産ローンデフォルトが上半期に456%急増している事などからも垣間見えます。
https://www.epochtimes.com/b5/24/9/23/n14336962.htm