ゴールドマンサックスによる衆院選についての見立て

高市首相、1月23日の衆議院解散を党幹部へ通知へ

Photo Tsuyoshi Kozu

· About topics in Japan,【最新ニュース】,Daily News
Section image

高市政権が、なりふり構わず合体した立憲公明党に。もし敗れるような事があれば株価は暴落しますので、この件は重要です。

報道によれば、高市早苗首相は1月14日、与党幹部と維新幹部に対し、1月23日に衆議院を解散し、2月上旬から中旬に総選挙を実施する方針を伝えました(総選挙は1月27日公示、2月8日投票が有力。1月14日付の時事通信等)。予算審議が始まる1月に解散するのは稀であり、1990年以来四半世紀超ぶりで、戦後では3例目となります。

ここでは、今回の衆院解散・総選挙に関して金融市場が考慮すべき要点を整理し、財政・金融政策への含意が検討されています。

高市内閣は高支持率だが、自民支持は前回衆院選並み

世論調査によると、高市首相が2025年10月に就任して以降、内閣支持率は就任直後に急伸し、高水準を維持しています。12月の支持率は主要10社平均で68.9%とされ、自民が衆院議席の6割超を獲得した安倍元首相就任後の水準とほぼ同程度です。

各社報道(1月13日、時事通信等)では、内閣支持率が高い局面で解散総選挙を実施し、与党連立の議席増と高市内閣への信任獲得を狙う意図があるとされています。

Section image

衆議院において現状では、衆議院で自民党と日本維新の会(JIP)の連立与党は、わずか過半数を占めているに過ぎません。1議席でも失えば過半数割れとなります。参議院では、連立は過半数に6議席届かない少数与党です(連立再編がない限り、次の参院選は2028年7月であり、それまで連立議席は大きく変わらない見通し)。この為、法案成立には野党の協力が不可欠であり、国会運営は難航しがちでした。

仮に総選挙で与党連立が衆議院の過半数を確保できれば、予算審議を含む立法プロセスは一定程度円滑化する可能性があります。

しかし、高市内閣の高支持率とは対照的に、自民支持率は(主要10社の12月平均で)30%です。

これは高市首相就任後に5ポイント上昇したものの、2024年10月の前回衆院選当時(自民が単独過半数を失った時期)と同水準です。

連立参加後も維新の支持率は約4%にとどまり、顕著な上昇は見られません。

野党の支持率は分散しており、最大野党の立憲民主党(CDP)が6%で、国民民主党(DPP)が5%強、参政党が4%、公明党が3%などとなっています。近く衆院選が行われた場合、自民が第一党となる可能性は高いものの、半年前の参院選で国民民主や参政党が大きく伸長した記憶も新しく、自民・維新連立が現時点で議席を上積みできるかどうかは不透明です。

Section image

与党連合は下院で辛うじて過半数を維持しているが、情勢は安定していない。上院では過半数を確保していません。
議会の議席数⇩

Section image

財政政策の不確実性が高まり、予算成立遅延の可能性も

解散総選挙となれば、2026年度予算の審議日程は逼迫します。通常は1月末に始まる次年度予算の審議が、1か月弱遅れる可能性が高いとみられます。仮に3月末までに予算案が成立しない場合、政府は年度末までに、数か月分を賄う暫定予算を編成する必要があります。

1990年には、1月下旬解散・2月中旬選挙という日程のもと、自民が選挙で単独過半数を確保したにも関わらず、1990本予算は3月末までに成立しませんでした。暫定予算の成立も1990年4月3日まで遅れ、本予算の成立は6月7日でした。

総選挙後のタイトな日程に加え、選挙後に与野党の協力関係が変化する可能性もあり、財政政策の不確実性は高まると考えられます。選挙結果は現時点で見通しにくいものの、複数のシナリオに基づく財政リスクは概ね上振れ方向に偏る一方、向こう数か月で財政赤字が大幅に拡大するリスクは大きくないとみています。

第一に、与党連立が衆議院で過半数を維持する(または自民単独で過半数を確保する)場合、2025年12月に高市内閣が閣議決定したFY2026予算案から、歳出規模が大きく修正される可能性は高くないと考えられます。

私どもは、2026年度予算は前年度比で増加しているものの、規模としては比較的抑制的だとみています。

したがって、向こう数か月の財政リスクは限定的と見込みます。ただし、政治基盤を強めた高市政権が、2026年半ば以降に追加的な財政拡張を志向する可能性はあり得ます(ただし、これは私どもの基本シナリオではありません)。また、骨太の方針は早ければ6月にも策定され得る為、その中で成長戦略の拡充が打ち出される可能性にも留意が必要です。

第二に、選挙後に自民が現行の連立相手維新以外の野党の協力も得て過半数を確保する必要が生じ、協力条件として積極財政が主張される場合、すでに閣議決定済みの2026年度予算案が一定程度上方修正され、財政赤字が拡大する可能性があります。暫定予算(または本予算)を迅速に成立させる観点から、修正が行われる余地がある為です。

第三に、与党連立が敗北し、野党による政権が樹立される場合には、中長期の見通しに関する不確実性は大きく高まります。ただし、新政権は予算を抜本的に組み替える時間的余裕が乏しい為、2026年度予算への影響は、第二のシナリオ同様に一定程度の歳出増にとどまる可能性が高いと考えられます。むしろ、秋以降に補正予算が組まれる可能性が高まるでしょう。

予算案に加え、今年は「特例公債法(赤字国債の発行根拠となる特例法)」についても国会承認が必要であり、これは5年ごとに行われます。特例公債法は必ずしも3月末までに成立する必要はありませんが、早期成立が望まれます。同法が成立しない場合、2026年度予算に予定される約23兆円の赤字国債が発行できず、政府支出の一部停止を招き得るため、日本版の「フィスカル・クリフ(財政の崖)」に近い状況となるおそれがあります。

予算案と異なり、同法は衆参両院の承認が必要です。したがって、衆院選の結果にかかわらず、参院では野党の協力が不可欠であり、選挙後に政治情勢が不安定化すれば、同法の成立が一段と難しくなる可能性があります。

次回利上げは7月予想を維持、ただし円安次第で前倒しの可能性

日本銀行は、物価安定目標の達成が着実に近づいているとの確信を強めており、利上げの遅れがもたらすリスクを以前より意識しているとみられます。

その結果、従来の慎重姿勢から、着実な利上げを志向する方向へと変化しつつあると考えられます。こうした日銀のスタンス変化は、構造的な労働力不足を背景とする賃上げを起点に、景気と物価の好循環が形成されつつあるという経済・物価情勢に基づくものである為、選挙結果により基本姿勢が変わる可能性は低いとみています。

この前提のもと、日銀の利上げ頻度は年1回から半年に1回程度へ戻ると見込み、次回利上げは7月と予想します。ただし、選挙結果によって円安が進行する場合、円安への対応として利上げが前倒しされる可能性もあると考えています。