アルゼンチンの通貨ペソが暴落しレッドゾーンへ突入

 

インフレ率も100%を超えています

Photo Nestor Barbitta

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アルゼンチンの通貨ペソは暴落し続けています。※⇧ドルペソ月足チャートです。

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ペソは昨日火曜日、アルゼンチン公式の外国為替市場がアルゼンチン政府の厳しい管理下に置かれているため、代わりに盛んに取引が行われている闇市場で、1ドルが500ペソ付近で取引され、安値新記録を更新しました。1週間前は1ドル=400ペソ程度だったとの事で、20%近く急落しています。
公式レートである約221ペソと比較すると、その差は歴然としており、実態ではペソの価値がより暴落している事が分かります。

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アルゼンチンのセルジオ・マッサ経済相は25日、フェルナンデス大統領が「あらゆる手段」を駆使してペソ安に対処する事を約束しました。(なんかカオスですね)

フェルナンデス大統領が再選を目指さないと表明した事で、既にボロボロになっているアルゼンチン経済が更に混乱し、状況を安定させる為の資金を借りようと、セルジオ・マッサ経済相が今週末に米国に出張する事になった様子。

もしマッサ経済相がワシントンから必要な支援を得る事ができれば、マッサ氏は与党の大統領候補となるかもしれない。もし米国から支援を得れなければ、事実上機能していない大統領が12月10日まで大統領を続けられるとは考えにくい。と言われています。

※アルゼンチンはブラジルとドル覇権から脱却する等と言っていましたが、ワシントンにこれからお金を貸して欲しいと頼み込みにいかなければいけなくなったみたいです。

現在のアルゼンチンの通貨危機は明確な船長がいない事が原因で、信頼の問題であると指摘がなされています。なんとかして信頼を回復出来れば、高騰していたドルペソは横ばいになる可能性があるが、それは450ドルを下回る事はないだろうとも。

アルゼンチンの企業には商品の妥当な販売価格がいくらになるか分からないため、営業を停止した企業も出てきている様です。

インフレ率も100%を超えた

アルゼンチンのインフレ率が、90年代前半のハイパーインフレの終焉以来、初めて100%を超えて急上昇しています。

アルゼンチン統計局の発表によると、インフレ率は2月に102.5%に達し、多くの消費財の価格が2022年から2倍以上に上昇した事が分かりました。

アルゼンチンは長年にわたり経済的に困難な状況にあり、現在多くの人々が貧困に喘いでいます。

政府は、食品やその他の製品の価格に上限を設ける事で、物価上昇を食い止めようとしてきましたが、食品・飲料部門は最近最も劇的な上昇を見せ、2月の物価は1月に比べて9.8%も上昇。

2018 年 1 月から 2023 年 1 月までのアルゼンチンのインフレ率

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補足:アルゼンチンの状態が日本とかけ離れ過ぎてて良く分からないという問い合わせをいただいたので少しアルゼンチンの通貨環境について説明します。

アルゼンチン政府自体が国民の外貨取引を規制しており、アルゼンチンでは個人が所有しているペソの銀行口座からドル購入はできず(正式には月200ドルまでですが手続き煩雑)、闇市場でドルを買うしかない状態。

なので、闇市場価格(ブルーレート)でアルゼンチン国民はドルを買っていて、公式レートより大分高いです。ブルーレートがつまりは闇レートって事で、より実態を表しています。

アルゼンチンの💲闇市場価格であるブルーレートについて、アルゼンチン駐在のサラリーマン、しずろく氏が分かりやすく解説しています。

アルゼンチンでは国民が自国通貨であるペソに対する信用が全くない為、銀行レート(Dolar oficial) に代わる、市場レート(Dolar Blue) が存在し、それがブルーレートです。

※銀行レートは冒頭で見せた様な公式価格です。

なんと、ブルーレートのほうが国民から信頼されており、日用品の商品価値の変動もブルーレートの上限に応じて決まるのが一般的との事。

2023年現在、大手の新聞やニュースサイトで堂々とOficial rateの横に並べられ、日々の為替変動が取り上げられていると言われています。

アルゼンチンはスペイン語が公用語なのですが、スペイン語でアルゼンチンのブルーレートの様子を見てみると・・・

確かに普通に公式レートの隣にブルーレートが表示されていました。

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アルゼンチンの人々がこのような非公式のブルーレートを使用する理由は、主に2つあり、公式なUSDドルへのアクセスが政府から認められていない事と、インフレ率が年間 60-100 %前後であるこの国では、
ドルおよび基軸通貨を買う事が唯一の貯蓄手段であるからだと説明されています。

アルゼンチンの実体経済がこのブルーレートで動いでいるので物価上昇が続く一方とも指摘されており、文字通り毎日の商品の値上げは真っ青になるとの事。(日本のインフレのスピードの10倍以上です)

最近話題のドル覇権からの脱却の為のブラジルとの共同通貨構想については、問題山積のアルゼンチンペソがそう簡単に他通貨に移行できるわけがないとバッサリ。

アルゼンチン闇市場価格(ブルーレート)チャート⇩

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現在のアルゼンチンのドル闇市場価格(ブルーレート)を確認するにはこのサイトが便利です。

こちらは公式レート⇩

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この様にブルーレートがアルゼンチン経済の実態を表しており、闇市場価格(ブルーレート)でアルゼンチン国民は公式レートより大分高い価格でドルを買っている状態なのです。まさにペソは紙屑同然。

良くこれでドル覇権から脱却する等と言えたものですね・・・・・

この状態を会員さんに説明したところ、「日本人はこんな状態を想像もできないですからね。私含め、この辺りぼんやりして方は多いかも。そりゃドルに変えたいよね」と驚かれていました。

現在、アルゼンチンのインフレ率は100%になり、為替もこの状態ですので、商品価格が毎週上昇し生活出来ないレベルです。

ですが、アルゼンチン政府が国民にペソをドルに変えさせない(ペソがハイパーインフレレベルで暴落します)ので、もはやにっちもさっちもいかなくなっているように見えます。

こうした環境ですので、仮想通貨取引所のバイナンスがアルゼンチンで取引所を開設しようとしてます。(ペソよりビットコインの方が信用高いだろうとそらなりますわな)

今月、世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスは、アルゼンチンのユーザーが現地通貨のペソで仮想通貨を購入できるようになったと発表しました。

アルゼンチンを含め、ラテンアメリカ全体の仮想通貨普及率は世界第5位で、世界全体で見ると仮想通貨の8%から10%を保有しています。

この地域では、過去2年間に仮想通貨の利用が10倍に増加しました。その先頭に立つのはベネズエラとアルゼンチンで、Chainalysisが発表したGlobal Crypto Adoption Indexではそれぞれ7位と10位にランクされています。

ビットコインは、少なくともペソみたいに暴落だけしたりしないですし、アルゼンチン国民は貯金を自国通貨ですると資産も減るので、何らかの形で資産を防衛したいんですね。

ビットコインアルゼンチンペソチャート⇩

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