
インフレ期待の乖離
米連邦準備制度理事会(FRB)の指標とスワップベースのインフレ期待との間のギャップが拡大している事は、市場がFRBの見通しよりも高いインフレを予想しており、これが積極的な利上げを誘発し、世界的なリスクを増幅させる可能性を示唆しています。
これを分かり易く言うと・・・
「アメリカの物価が今後も上がりそうなので、それを抑える為にFRBが利上げに走り、世界中の経済がピンチになるかもしれない」です。
ポイントは3つ。
1.FRBの予想と市場の予想にズレがある
アメリカの経済をコントロールするFRBは、「これからは物価の上昇も落ち着いていくだろう」と考えています。しかし、市場(投資家や企業など)は「いやいや、物価はまだまだ上がり続けるはずだ」と予想しています。
この2つの考えに「ギャップ(ズレ)」が生まれています。
2.FRBが「利上げ(金利の引き上げ)」を検討する理由
マーケットの予想通りに物価が上がり続けると国民生活が苦しくなってしまいます。
そこでFRBは物価の上昇を止める為に「利上げ」をやる必要が出てきます。「利上げ」とは、銀行にお金を預けたり借りたりする時の利息を高くする事です。これによって、みんながあまり買い物をしないようにして、無理やり物の値段を下げる作戦です。
3.それが世界のリスクに繋がるワケ
アメリカの金利が上がると、世界中のお金持ちや企業は「アメリカにお金を預けた方が儲かる」と考えます。すると、世界中からアメリカにお金が集まり過ぎてしまい、他の国(日本なども含む)の経済のバランスが崩れてしまう恐れがあります。これが、「世界的なリスク(危険)が大きくなる」という事です。また、マーケットはFRBから利上げ発表があった瞬間に脊髄反射的に株を売りまくります。
銀行資金調達のストレス
米国の固定型銀行CP/CDと米国債利回りのスプレッド上昇は、国債と比較して銀行の資金調達コストが上昇している事を示しており、ユーロ圏のストレス(CDSスプレッドの急上昇で証拠付けられる)の中でのシステミックな流動性懸念を反映しています。
これを分かりやすく言うと・・・
銀行が「お金を借りるのに苦労している」という、世界的なお金の詰まり(ストレス)が起きている状態を指しています。
米国債(国債): 国が発行する「安全な借用書」。絶対に返ってくる安心感があります。
銀行CP/CD: 銀行が発行する「借用書」。普段は安全ですが、現在は不安視されています。
スプレッド: 「国への安心感」と「銀行への安心感」の差。
今起きているのは、「国にお金を貸すのはいいけど、銀行に貸すのはちょっと怖い。もっと高い利子をくれないと預けたくない」 と世間が思い始めた状態です。
銀行は商売の為に現金が必要ですが、高い利子を払わないとお金が集まらなくなっています。これが「資金調達のストレス」です。
何故ヨーロッパ(ユーロ圏)が関係する?
世界中のお金は繋がっています。
CDSスプレッドの急上昇: これは銀行が倒産した時の為の「保険料」が上がっているという事です。
システミックな懸念: どこか1つの銀行がダメになったら、ドミノ倒しで全部ダメになるかも?という恐怖心。
「ヨーロッパの銀行が危ないかも?」というニュースが出ると、アメリカの銀行に対しても「念の為、貸すのを控えよう」という動きが広がり、世界中でお金の流れがギシギシと音を立てて渋っているイメージ。
世界経済と金利の現状をまとめたチャート集

各グラフのポイント
① 世界株式(左上) → 長期的に上昇トレンド継続中
② 経済サプライズ指数(右上) → 予想より良かったり悪かったりを繰り返している(最近はやや低め)
③ 米国債利回り(中央左) → 2022年以降に急上昇し、現在は高止まり(10年債・2年債ともに約4〜5%)
④ 米国債イールドカーブ(中央右) → かつて逆転していたカーブが、現在は正常化しつつある
⑤ 主要国の10年債利回り(下左) → 日本・英国・ドイツとも上昇傾向。特に日本が近年急上昇
⑥ 欧州の対独スプレッド(下右) → スペイン・イタリア・フランスの金利差は比較的安定