先週の米国株の様子について

情報が遅い方や株価に疎い方はまだ株が暴落していると言っているのをたまに見かけますが、既に米国株価はトランプが関税を発表した4月3日以前の水準にまで回復しています。

Photo Fab Lentz

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最近の米国相場の様子について見てみましょう。

投資家心理は「極端に弱気」なのに市場は上昇中。

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毎週調査される米個人投資家協会(AAII)」で、11週間連続で50%以上の投資家が「弱気」と答え、過去最長を記録しているにも関わらず、個人投資家などが活発に株を購入しています

因みに投資家が「弱気」と答えた期間の記録は、1990年は7週、2008年は最大4週、2022年は最大5週でした

普通ならこれだけ弱気なら売り圧力が強いですが、逆に機関投資家(システマティックトレーダー)や個人投資家がこの期間に約10兆円分の株式を買い支えています。
現在、S&P500は遂に今回の暴落を引き起こした4月3日のトランプ関税発表時の株価水準を上回って推移しています。

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下げのレジスタンスラインを上抜け(緑の矢印をした場所)してから一目雲で雲の上にロウソクが出て推移しているのも分かります。

S&P500は最近の主要なレンジ(4700-5700のレンジ)の上限を上抜ける動きになっており「置いて行かれる恐怖(FOMO)」が発生していると言われている位です。

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今回S&P500が反発した場所は、2022年1月の高値の水平線(4800ドル付近)。ここで綺麗に反発しています。

エリオット波動として見ると、少し第三波の形が歪ですが第一波の高値4800ドルを下回らず、ここできちっと上昇再開しています。ビットコインも同じような動きをしていますね。

日経もS&P500とほぼ同じ値動き。

日経先物4時間足⇩

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最近の株価好調の要因:政策・貿易などのポジティブ材料の連発

・バイデン前政権の半導体輸出規制の緩和報道。
・トランプ大統領の対中貿易交渉に前向きな発言、および「今すぐ株を買え」という呼びかけ(過去にも発言直後に大幅上昇)。
・米英の大型貿易合意(初の大型合意)や大手航空機購入の噂。
・雇用統計も堅調で、米経済の悪材料は無視されつつある。。

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米国株価関連ニュー

・米国株は、トランプ大統領が米英貿易枠組み合意を確認し、「中国関税はこれ以上高くはならず、今後下がる」と発言した事で、貿易に対する楽観が支えとなり上昇しました。これにより、今週末スイスで行われる米中貿易協議を控え、相場は幾分勇気付けられました

・NYポストは、米国が中国への関税を現在の145%から最終的に50%まで引き下げる案を検討していると報道。ただし、大統領が高額所得者向けの最高税率引き上げを推進していると言う報道もあり、株価は本日の高値圏からやや軟化して引けました。。


・トランプ大統領は「対中関税は145%より高くは出来ず、今後下げる予定だ」と発言。

また、「半導体市場で大きなシェアを取る」とし、米中協議は本質的なものとなる、中国は何かしらの合意を望んでいると述べました。米国は中国でビジネス展開を競い合いたい、米企業の参入を認めるよう中国に求めるとし、合意がまとまっても驚かないともコメント。
・トランプ大統領は10%の関税ベースラインについて「今後の合意のテンプレートとはならず、10%は低水準、他は上がるだろう」とし、自動車分野では同様の合意はしないと述べました。
・NYポストによれば、米国は早ければ来週にも対中関税を145%から50~54%まで引き下げる案を検討中。交渉中は50%への引き下げを維持し、南アジア諸国については25%とする方向。
・米商務省によれば、米英合意では米国のエタノール、牛肉、果物、野菜、飼料、たばこ等の輸出障壁が撤廃。一方、英国の自動車メーカーは年間10万台までは10%、それを超えると25%の関税を支払う事となります。
・商務長官ルットニックは、今回の合意を他国との交渉の雛形とし、7月8日までに多数の合意が発表されるだろうと発言。インド、日本、韓国など大国では時間がかかるが、財務長官ベッセントの目標は中国との緊張緩和だともコメント。
・USTRグリアー氏は「これが枠組み」だとし、90日後には他国との合意も進展がみられるだろうと述べました。
・米国ビッグ3の自動車業界団体は、「英米合意は米自動車メーカー、部品サプライヤー、労働者に損害を与える」と批判。
・英貿易大臣レイノルズ氏は、10%の米国基準関税の引き下げは今後の協議次第とし、牛肉の英輸入も英規則に準ずると発言。映画関税についても進展があり、鉄鋼、自動車、製薬、航空宇宙で重要な成果があったとしました。
・独メルツ首相はトランプ大統領と電話協議し、貿易紛争の迅速解決で一致。
・中国の外務副大臣は「米国の貿易政策は持続できず、中国は対応力に自信があり、どんな戦争も望んでいないが必要なら困難を克服できる」と発言。中国国民も貿易戦争は望まないが、必要なら対応すると述べました。
中国はアルゼンチンの輸出業者と約9億ドル規模の大豆、トウモロコシ、植物油の購入意向書に署名し、米国産からのシフトが報じられています(ブルームバーグ)。
・トランプ大統領、非公開で下院議長ジョンソンに最高税率引き上げとキャリーオーバー特例廃止を要請。個人年収250万ドル(夫婦500万ドル)以上に39.6%の新税率を設けるよう推進。進

・副大統領ヴァンス氏「トランプ大統領のFRBパウエル議長批判は正しい。パウエルは貿易合意対応が遅すぎ」と述べる。

・日経平均は3月末以来初の37000ドル台回復。為替安で押し上げられ、家計支出は予想超だったものの、現金給与は軟調。
・香港・上海市場は中国貿易統計が予想上振れも輸出伸び鈍化で慎重。それでも週末の米中協議や関税引き下げへの思惑で下げ渋り。
・DXY(ドル指数/複数の主要通貨に対するドルの総合的な強さを指数化したもの)はFOMC後の上昇を維持し100超え。貿易合意期待で米経済への信頼感回復がみられました。最近の米指標はまちまちですが、新規失業保険申請は減少。
・ドル円は米金利上昇追い風に一時146円台まで上昇後、一服。
・10年米国債先物は今週の安値付近で推移。金利上昇・貿易期待・30年債入札不調もあり。
・金は一時前日安値割れも、3,300ドル/オンス台を回復。
・ビットコインは直近急騰の後、103,000ドル台から下落。3ヶ月ぶり高値を一時記録。
・トランプ大統領が「ロシア・ウクライナとの協議は続行し、無条件の30日間停戦を求める。不履行なら追加制裁」と投稿。
・ウクライナのゼレンスキー大統領「即時停戦に応じる用意あり。30日間停戦は和平への真の指標」と発言。
・ウクライナ当局者「停戦中にも関わらず、ロシアがザポリージャ地方の集落8ヵ所を220回にわたり無人機と砲撃で攻撃」。
・米副大統領ヴァンス氏「ロシアが誠意を示さない場合は協議から撤退」とFox Newsで発言。
・ロシア大統領補佐官ウシャコフ氏「プーチン大統領とトランプ大統領の会談が近づいている」(RIA)。
・独報道官「メルツ首相とトランプ大統領が電話会談し、ウクライナ戦争の終結で協力することで一致」。
・中露共同声明「国際法権威の強化、単独制裁・越境適用や二重基準の押し付けに強く反対」

様々な意見がありますが、今の株価はトランプ関税が落ち着いてきて、ゴールが見え始めた事で通常の値動きに戻り始めた為にトランプ関税発動前の水準にまで戻ったように見えます。

そして、ここから先は別の好材料が必要になってくる可能性。