
最近の金価格の下落は、上昇トレンドが終わるサインではなく、むしろ「健全な調整」だと見られています。
J.P.モルガンのコモディティ調査チームによれば、金価格は現在3,944〜4,000ドル付近の重要なサポート水準まで下落しており、ここで一旦安定して新たなもみ合い(コンソリデーション)の段階に入る可能性があるとの事。
また、各国の中央銀行や中国の買い手による需要がこの下落局面での支えとなり、投資家のポジションが過熱した状態から落ち着くにつれて、再び上昇基調に戻ると予想。
J.P.モルガンの長期的見通しでは、金の上昇トレンドは依然として続いており、今後の平均価格は2026年第4四半期には1オンスあたり約5,055ドルまで上昇すると見込んでいます。
モルガンは金の短期的な下落を過度に悲観する必要はなく、金市場は依然として強気の流れの中にあるという見方を示しています。
ゴールドは放物線を描くような上昇をする可能性

- 2008年 → 2020年:価格が1,000ドル/オンスから2,000ドル/オンスに上がるまでに12年以上かかった。
- 2020年 → 2025年頃:2,000ドル/オンスから4,000ドル/オンスに上がるまでには、今度は5年ちょっとしかかかりませんでした。
- 3,000ドル → 4,000ドル:その1,000ドル分の上昇に約200日。
- 3,300ドル → 4,300ドル:更に急激な部分では、およそ60日で1,000ドル上昇。
長い時間をかけてゆっくり上がっていた金価格が、最近になって非常に速いテンポで上昇しており、上昇ペースが加速度的に速まっています。
金のETF(上場投資信託)への資金流入が異常に大きくなっています。

過去8週間で 世界の金ETFが合計268トン(約330億ドル) の金を買っています。特に先週だけで59トン分も購入がありました。
これらのETFの多くは米国と欧州の投資ファンドによるもの。
JPMorganの試算では、この8週間のETF購入が、投資家・中央銀行を含めた通常1四半期分の全世界の金需要(ETF+先物+金貨・金地金購入+中央銀行の公式購入)のおよそ60%以上に達しているとなっています。
つまり、「いつもの3か月分の大部分を、たった2か月でETFが吸収した」という事。
金への投資熱が非常に高まっている事を示し、投資家がインフレ懸念や政治・地政学的リスク、長期金利・為替動向などを背景に、安全資産の金に資金を移している可能性が高いです。
ただし、これほど急速な流入は、相場過熱や一時的なセンチメント主導の動きである可能性もあり、短期的なボラティリティ(値動きの変動)に注意が必要です。
OMEXの建玉データによると、投機筋(ヘッジファンドなどの短期的な投資家)が保有していた金のロングポジションを一部手終いしました、つまり買いポジションを減らした事が報告されています。
